「ワクチン来ない」「注射器も不足」接種計画狂い困惑の現場

 新型コロナウイルスのワクチン接種の予約を制限する動きが、全国的に相次いでいる。国からのワクチン供給が減っているためで、自治体向けの米ファイザー製は以前より3割ほど減少する見込みだ。64歳以下への接種が本格的に始まる中、計画の見直しを迫られる自治体が出てきている。接種を担う医療機関からは「体制を強化したのにワクチンが来ない」と困惑の声が上がる。

「高齢者の接種も終わっていないのに」

 「1週間に2千回接種できる体制をつくっているのに、その半分も打てない」。福岡リハビリテーション病院(福岡市西区)の医事係、財部勲雄主任はため息をつく。6月末に福岡市から、1週間当たりの接種数として7月は684回、8月は480回と示された。

 200平方メートルの「ワクチン接種センター」を新設し、医師や看護師を投入。新型コロナ対策の「切り札」に、病院を挙げて協力してきた。若い世代の問い合わせも増えているが「今打っても、2回目が確保できる保証がない。どの程度予約を受け付けていいのか、難しい」と頭を抱える。

 福岡市早良区の内科医は「まだ高齢者の接種も終わっていないのに」と憤る。感染力が強いインド変異株の脅威もあり、次の流行への懸念が強い。「国は必要な量を速やかに確保してほしい」と求める。

接種加速の国の大号令…戸惑う自治体

 国のファイザー製の供給は4~6月は1億回分だったが、7~9月は3割減の7千万回分。河野太郎行政改革担当相は2日の会見で、7月後半の配送量は「自治体の希望量の3分の1」とした。福岡県の服部誠太郎知事は6日の記者会見で「国の制度設計が甘かったのでは」と提起した。

 長崎市の担当者は戸惑いを隠さない。「国が接種加速の大号令を掛けたから、準備を進めてきたのに」。8カ所ある集団接種会場を2カ所に減らし、個別接種も20日までで予約を停止するという。

 福岡市は6、7月はそれぞれ33万~35万回ほどの供給だが、8月以降は減る見通しだ。市は接種を実施する約800の医療機関に、8月の予約を2~3割減らすよう要請した。福岡県糸島市は通所の福祉施設関係、学校教職員などへの優先接種を先送りした。1日540人(日曜は960人)に行っている集団接種は、10日以降360人に減らす。

 なぜワクチンが足りなくなっているのか。国の供給が追い付いていないという現状がある一方、接種の進行に差が出て在庫を抱えた自治体が出てきているとの指摘もある。

「こんな注射器、患者に使ったことない」

 安定供給ができなくなっているのはワクチンだけではない。接種に使う注射器も、以前から使用されてきた1ミリリットルのタイプが品薄になった。そのため、2倍の容量で目盛りも粗いものが配布されている医療機関が各地にある。

 「こんな注射器を患者に使ったことはない。動きが悪くてとにかく使いにくい」と言うのは、福岡市内の60代の医師。見慣れない、太くて短い形状に驚いた。

 ワクチンは1瓶から6本の注射器に0・3ミリリットルずつ取り分ける。従来は0・01刻みだった目盛りが0・1刻みになり、微妙な量の調整が難しい。6本に取り分けるのに「ベテラン看護師でも30分近くかかった」という。

 厚生労働省の担当者は「不満の声をたくさん聞いている。使いやすいものを確保したいが、今後の供給は不透明」と話した。

 (斉藤幸奈、高田佳典、金沢皓介)

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