氾濫見つけたらチャットで報告 市民の目で防げ二次被害

 筑後川の中流域にある福岡県久留米市の市街地は、2018~20年の3年連続、支流から水があふれる「内水氾濫」に見舞われた。想定外の豪雨で支流から本流へ水を流せなかったためだが、低地にも住宅が広がり、アスファルトが増えるなど都市化が進んだことで水を処理できず、「冠水被害」につながった。市はハード・ソフト両面で対策を講ずるが、気候変動と都市構造に由来する被害をゼロにするのは容易ではない。

 昨年7月初旬の豪雨では市内の約1400戸が床上・床下浸水し、通行止めも相次ぎ都市機能は麻痺(まひ)した。

 発生のメカニズムはこうだ。筑後川本流の水位が高く、支流への逆流を防ぐため下弓削川などで水門を閉じた。通常なら支流から本流にポンプで水を送る方法で対処可能だが、支流の流量がこの能力を超え、あふれた。

 市が整備してきた地下貯留管などは氾濫した水や雨水を一時的にためる機能があり、一定の効果を発揮したが、冠水を防ぐことはできなかった。

 流域の「冠水常襲地帯」の多くは、かつて水田やレンコン畑。浸水を前提に利用してきたが、都市化に伴って住宅地や商業地に変わった。確かに市内の遺跡分布では、こうした常襲地帯には住居跡などの遺跡は確認されていない。市文化財保護課は「縄文時代から人間が生活した痕跡がない」としており、歴史的にも浸水を恐れ、人々が定住を避けてきた背景が浮かぶ。

 久留米市は本年度、過去最大級と位置付ける施設整備に着手し、2年後をめどに久留米大の運動場を掘り下げて約2万トン分の貯留機能を整備する。大雨時に近くの川の水を引き込み、商業施設が並ぶ周辺地域の浸水被害を抑える。

 内水氾濫は各支流で起き得るため広範囲になる可能性がある。二次被害を防ぐには迅速な情報収集と発信が重要と考える市は、スマートフォン用アプリを使った監視システムの開発を本年度からスタート。氾濫を察知した市民がアプリに投稿した冠水場所の位置や状況、写真を、人工知能(AI)の自動応答システム「チャットボット」で処理し、リアルタイムで電子地図に表示する。

 内水氾濫の予想は難しいだけに、市民の目が頼りになる。大久保勉市長は「被害を最小限にしたい」と話している。

 (野村大輔、平峰麻由)

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