我慢80日「光が差すようだ」 福岡まん延防止解除へ、飲食店期待

 「光が差すようだ」。福岡県に出された新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の解除が決まった8日、長く我慢を強いられた飲食店関係者は通常営業再開に期待を寄せた。県内で最大80日超続いた営業時間の短縮や酒類提供禁止の制約が12日に解除される。ただ、“第5波”への懸念もある中、専門家は緊張感の維持を訴える。

 福岡市の歓楽街・中洲のすき焼き店「にしやま」では8日午後、常連客からの問い合わせが増え、来週以降の牛肉の在庫を確認した。「ありがたい。我慢した分、うれしさはひとしお」と、西山幸志社長は語る。

 名店として知られ、2019年夏に閉店したすき焼きの老舗「中洲ちんや」の元従業員。創業者一族に許可をもらい、後継店として昨年1月に同じ場所に開業したが、すぐにコロナ禍に見舞われた。

 苦しい経営環境の中、県の休業・時短要請には全て従った。福岡市では4月22日に時短要請が出され、その後、緊急事態宣言、まん延防止等措置と続いた。振り返れば、今年の営業は2カ月のみだ。

 中洲では長引く制約に耐えきれず、“禁酒令”を破り時短要請に従わない店が続出したが、「お客さまと従業員が感染したら信頼は一気に崩れる」。老舗を継いだプライドがあった。

 措置解除で、81日ぶりに午後5時から10時までの通常営業に戻れる。「長いトンネルを一つ抜けた感じ」。店と中洲を支えた企業族の接待利用はいつ戻るのか。不安はあるが今はこう思う。「感染対策も含め、しっかり準備をして店の味を愛してくれる人を待ちたい」

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 措置解除について、街の反応はさまざまだ。福岡県筑紫野市の女子大学生(20)は「時短でバイトのシフトを削られていたのでうれしい」。福岡市東区の女子大学生(20)は「夏休みに実習に行けるようになって良かった」と喜んだ。

 一方、解除は「早い」という声も。同県太宰府市の主婦津村仁子さん(62)はワクチン接種が浸透していない現状に「まだ我慢が必要だった」と話した。

 県内の直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数は7日現在4・2人と、5月中旬のピーク時67・2人から大幅に低下した。九州大病院グローバル感染症センターの下野信行センター長は解除に理解を示しつつ、緊張感を保つよう訴える。第4波で重症化が目立った30~50代はワクチン接種が進んでいない世代だ。東京の感染者が増加傾向にある中、「再び感染が全国に広がる可能性がある。解除後も節度ある行動が大事」と注意を促した。

 (井崎圭、金沢皓介、高田佳典)

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