母の失踪、逮捕…「大人も社会も敵」からはい上がり

 ひとりじゃないから 6

 4月上旬の夜、花冷えする福岡県内の公園。ホームレス支援の炊き出しに40人ほどが並ぶ。スタッフのダイキ(32)=仮名=は同年代の男性が気になり声を掛ける。「仕事がなくなり、1週間前にホームレスになった」。黒のコート姿のヨウジ(30)=同=はこう話した。交通事故で高次脳機能障害が残り、てんかんの持病もあるという。自らの辛苦と重ね合わせた。

 「恥ずかしくて、隠れるように生きてきた」。東北出身のダイキは中学2年で両親が離婚し、母親と2人で縁もゆかりもない山口県に移り住んだ。母が家に連れ込む男は生活保護費を奪い、ダイキに手を上げた。精神的に不安定な母から「殺してやる」と包丁を向けられることもあった。

 中3の冬。学校から帰宅すると、アパート玄関の鍵が取り換えられていた。母は行方知れず。「死のうかな」。近くにある公園の遊具の中で一夜を明かした。

 「電車賃をやるから東北に帰りなさい」。中学の担任と頼った児童相談所で突き放された。「大人も社会も敵」。反発してアパートで1人暮らしを始めた。

 最後に母と会ったのは16歳の時。万引で逮捕されたと連絡があり、警察署で面会した。罪が重なり刑務所に入ることが分かっていた。「あきれ果てた」...

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