賃貸物件の模様替え「原状回復」できればOK?

 マンションの部屋に剥がせる壁紙を張り、手作りの棚を置いたら契約違反として約30万円を請求された-。福岡県久留米市で賃貸物件を借りた40代男性が本紙「あなたの特命取材班」に憤りの声を寄せた。男性は物件を傷つけず原状回復できると主張し支払いを拒否している。そもそも賃貸物件の模様替えはどこまで許されるのか。調べてみた。

 男性は久留米市などで賃貸物件を借りて時間制で会議室などとして貸し出すレンタルスペース事業を経営。4月、今回の1LDKを事業用に借りた。契約書では貸主の承諾なしに増改築や模様替え、工作物を設置することなどを禁じ、違約金として家賃6カ月分(約30万円)を定めている。

 男性は契約直後、壁紙をリビングなどに張り、トイレのタンクを手製の木の棚で覆った。壁紙はシールのように剥がせる。棚もくぎやねじは使わず、取り外し可能だ。「元通りにできるので問題ない」と考え、管理会社には知らせなかった。

 5月、男性が換気扇の修理を管理会社に依頼し、室内に入った担当者が壁紙や棚に気付いた。貸主側は違約金約30万円を請求した。

 男性は弁護士に相談した上で「原状回復すれば損害は発生しない」などと支払いを拒否。貸主側は違約金の請求は取り下げたが、原状回復には「業者の見積もりで約70万円かかる」として「敷金」70万円の預託を求めた。男性は「根拠がない」とこれも拒否した。

 取材に対し、管理会社の担当者は「オーナーからお答えしないように言われている」と話した。

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 専門家は今回の件をどう見るか。福岡県宅地建物取引業協会の浜田真常務理事は「管理会社に事前に相談し、書面で承諾を得るべきだった」と指摘する。一般に壁の内装は少しの傷や汚れでも全面張り替えが必要な場合があり、費用も材質や面積でまちまちという。

 同県弁護士会消費者委員会の春田久美子弁護士は違約金の額が妥当かどうかに着目する。「違約金はあくまで損害賠償額の予定にすぎない。見積もりの根拠を明確にして適正な金額を支払えば良い」と指摘する。

 今年3~5月に同県宅建協会に寄せられた不動産に関する相談は約570件。うち75件が原状回復費関連だった。浜田常務理事によると、事業用の契約ではある程度の改装などを前提に原状回復について細かく取り決める場合もあるが、住居用は改装などが原則禁止されることが多いという。

 国土交通省は賃貸住宅の原状回復を巡る指針を示している。例えば家具を置いて床がへこんだら貸主の負担だが、たばこのやになどは借主の負担だ。同省住宅局は「指針は標準的な考え方。具体的には当事者間の取り決めによる」とする。

 春田弁護士は原状回復費について「見積もりが納得できなければ支払う前に弁護士など専門家に相談してほしい」と話す。入居時に既存の傷や汚れがあれば撮影しておこう。浜田常務理事は「元通りきれいになるかどうか、実際は退去時まで分からない。模様替えなどを行う場合は契約書をよく確認し、迷ったら貸主側に連絡を」と話した。

 (梅本邦明)

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