冤罪被害の救済 国は再審制度の改革急げ

 無実の人が有罪とされ、真犯人は野放しのまま。そんな理不尽を断じて許してはならない。

 冤罪(えんざい)を訴える人の救済のために刑事裁判をやり直す「再審」がある。その制度に問題があるとして、見直しを求める声が広がっている。本紙の取材では、全国の少なくとも49市町村議会が国に速やかな法改正を促す意見書を可決した。

 冤罪防止に取り組む当事者や弁護士らが活動を重ねてきた結果だ。市町村議会が刑事司法の在り方にもの申すのは異例と言える。国は正面から受け止め、改革を急ぐべきである。

 背景には、大阪地検特捜部による証拠改ざん事件(2010年)や足利事件の冤罪確定(同)などで高まった、検察への国民の不信がある。その反省から刑事司法改革関連法が16年に成立し、取り調べの一部可視化(録音・録画)などが導入されたが、再審制度の改革は先送りされたままだ。

 地方議会の意見書には柱が二つある。第一は検察が持つ証拠の全面開示、第二は裁判所の再審開始決定に対する検察の不服申し立ての禁止・制限だ。

 刑事訴訟法は有罪確定者の再審開始を、無罪を言い渡すべき明白な証拠を新たに発見した場合などに限る。ところが、捜査機関が集めた証拠は検察が独占し、有罪立証に使う証拠以外は原則開示しない。検察が描いたストーリーに合わない証拠は伏せられる懸念が拭えない。

 16年の改革関連法で、被告の起訴後、弁護側が求めれば全証拠の一覧表や一定範囲内の証拠が示されるようになった。再審無罪が確定した熊本県の松橋事件(1985年)では、弁護側請求で検察が開示した証拠約100点から無罪を示す決定的な証拠が見つかっている。

 一方、裁判所が再審開始を決めても、検察が不服を申し立てて上級審で覆ることがある。鹿児島県の大崎事件(79年)では最高裁が地裁、高裁の再審開始決定を取り消した。殺人罪などで服役後も無実を訴え続ける女性は94歳となっても再審による潔白の証明を求めている。

 女児2人が殺害された福岡県の飯塚事件(92年)では9日、確定判決により死刑が執行された男性の遺族が第2次再審請求を申し立てた。

 こうした当事者、関係者にとって現行の再審制度は果てしなく長い時間に感じられよう。

 捜査で集めた証拠は公共の財産であることを改めて共通認識とし、裁判所が再審開始の決定を出したら速やかに、再審公判に移る原則を構築したい。

 「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則は、再審にも適用されるはずだ。

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