教員不足、頼みは臨時免許 大学生にも…「乱発は制度形骸化招く」

 大学や短大を卒業して取得する教員の普通免許ではなく、欠員を補うための臨時免許で教壇に立つ「先生」が増えている。九州7県での臨時免許交付件数は2020年度、小中高と特別支援学校で計2197件に上り、14年度の約1・3倍。全体の3分の1に当たる755件が小学教員で、特別支援学級の急増や35人学級の導入に伴って必要な教員数に採用が追い付かない状態にある。研究者は「“裏ルート”の乱発は免許制度の形骸化を招きかねない」と警鐘を鳴らす。

 14~18年度は文部科学省が公表している全国の県別データがあり、19、20年度分は西日本新聞が九州7県に問い合わせて集計した。

 中高の普通免許を持つ人に小学校の臨時免許を出すケースや、塾講師など何らかの経験者が多いとみられ、過去に福岡県では、教職を目指す大学生に臨時免許を出した事例もあった。

 福岡県は教員の大量定年の時期に当たって全国最多水準が続いており、20年度は682件で14年度の約1・4倍。半数以上が小学教員で、県教育委員会の担当者は「正規教員の確保が追い付かない」と説明する。

 福岡、北九州両政令市を除く県域だけでも、本年度は特別支援学級の増加により、新たに200~300人の教員が必要になったという。1学級当たりの上限人数を40人から35人とする35人学級が本年度、従来の小1から小2に拡大されたことも影響し、県域の公立小中では5月1日時点で74人の欠員が生じた。

 県教委は市町村教委から出される推薦文や人物証明書で判断し、臨時免許を出している。それでも、県域のある公立中では社会の教員が足りず、特別支援学級の担任が通常学級で授業をしているという。勤務する男性教員は「正規採用ではない講師も目立ちアンバランスだ」と嘆く。

 佐賀県は20年度、14年度の約3倍の97件になった。欠員を埋めるため、17年度から小学校の臨時免許を解禁したという。県教委は「大量退職が続いており、教員が足りない」。教員のサポートは学校現場に委ねているという。低水準が続く熊本県でも20年度から条件を緩和し、学校の勤務経験を不問とした。

 鹿児島県は20年度が617件と14年度の約1・4倍に増え、中学教員が全体のほぼ半数を占めた。小規模校が多いため全教科をカバーできる教員数を一つの中学にそろえられず、臨時免許で対応しているという。

 九州大大学院の元兼正浩教授(教育行政学)は「そもそも普通免許でも教員として必要な資質や力量を示す最低限の専門性の証明にすぎない」と指摘。その上で臨時免許で小学校教員になった場合、専門外を担当する危険性は否定できないとして、系統だった養成と研修が必要との認識を示す。「各教委が安易に臨時免許を乱発すると、専門職としての教員の地位が崩れることになりかねない」として、早急な改善を求めている。 (編集委員・四宮淳平)

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 【ワードボックス】教員免許

 教員免許には普通と臨時、特別の3種類があり、いずれも都道府県教育委員会が交付する。普通免許を取得するには大学や短大に入学し、法令で定められた科目を修得して卒業することが条件。臨時免許は普通免許がある人を採用できない場合に限った対応として発行が認められている。特別免許は社会経験に基づく専門知識のある人が対象。有効期間は普通、特別の免許が10年、臨時は原則3年。

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