生かし切れない再生エネ、「出力制御」いつ解消? 方法は、課題は

 政府が再生可能エネルギーの拡大を目指す中、九州では太陽光や風力の発電を一時的に停止する「出力制御」が頻発している。2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロに向け、経済産業省は地域間の送電網を増強して九州外の地域への送電量を増やす方針を打ち出す。ただ、最短でも10年程度の事業期間や巨額の費用など課題が多い。

 電力は、需要と供給のバランスが崩れると大規模な停電を引き起こす恐れがある。このため、天候が良く電気の使用量が少ない春と秋を中心に、電力会社が出力制御する仕組みがある。日照に恵まれる九州は太陽光発電所が多く、原発4基も稼働して供給力に余裕がある。九州電力は2018年10月に全国で初めて出力制御を実施し、20年度末までに計160回に上る。

 出力制御を減らす主な方法は、電力需要が大きい首都圏や関西圏に送電することだ。だが、九州と中国や四国とを結ぶ送電網の容量に限りがある。そこで経産省は、地域間を結ぶ送電網を増強する方針を示した。改定に向けて検討している「エネルギー基本計画」に盛り込む方向という。

 これを受け、全国の電力供給システムを調整する国の認可法人「電力広域的運営推進機関(広域機関)」は5月、九州と中国をつなぐ「関門連系線」など4カ所の増強案を示した。関門連系線の送電線を1回線から3回線に増やし、容量を現在の2倍の556万キロワットまで拡大する考えだ。

 関門連系線を巡っては、広域機関が18年にも検討したものの、十分な費用対効果が見込めないとして、見送った。再び増強案が浮上した理由について、国が20年に九州や東北での洋上風力発電の導入拡大案を示したことで「想定が変わった」(担当者)と説明する。

 もっとも、事業期間は流動的だ。工事計画を策定するのは22年度以降になる見通しで、工事が終わるまでには10~20年かかる可能性があるという。広域機関の担当者は「今後導入される再生エネ電源の規模や立地の確認などが必要。想定がさらに変われば、工事計画も再検討しなければならない」と指摘する。

 費用も膨大になる。広域機関は、増強案で示した4カ所の送電網の事業費について、最大2兆5400億円に上ると試算する。電気料金に上乗せして事業費を回収する方向で検討されている。 (石田剛)

 【ワードボックス】出力制御 電力の発電量と使用量のバランスを保つため、発電量の超過が想定される場合、発電所の出力を一時的に抑制する仕組み。国が定める順番では、電力会社はまず火力発電の抑制と揚水発電のくみ上げ運転で対応。次にバイオマス発電、太陽光と風力の順で出力を抑制する。出力の小刻みな調整が難しい原子力や水力は最後になる。

 

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