「帰省にブレーキ」「7、8月がヤマ場」尾身会長、感染拡大受け談話

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は16日、臨時記者会見を開いて談話を公表し、来週からの東京五輪・パラリンピックやお盆期間中の感染拡大を防ぐため、都道府県境を越える移動をできる限り控えるよう呼び掛けた。この日、東京都の新規感染者数は1271人を数え、コロナ「第5波」の様相がより鮮明に。インド由来で感染力が強いデルタ株の猛威を制御可能なレベルにできるか、「最大のヤマ場」(尾身氏)に入る。

 冒頭、尾身氏が紹介したのは、東京など感染拡大エリアからの人の流れが増えた結果、那覇市の新規感染者が上昇したことを示す棒グラフだった。「旅行者が増えると、滞在先の感染者も増える」と説明し、今夏の帰省やバカンスにぐっとブレーキを踏んだ。

 続けて、国立感染症研究所の解析を出した。2週間以内に3人以上での会食に2回以上参加した人は、1回以下の人と比べて感染する危険性が2・5倍に、特に飲酒を伴うケースは4・9倍にもなる-。改めて、専門家の立場から飲食の場面に警告を発した。

 4回目の緊急事態宣言下の東京。都心の人出が昼夜とも減らず、デルタ株への置き換わりも加速し、15、16両日の新規感染者数は前週の同じ曜日を400人以上も上回る「異常な伸び」(尾身氏)を記録している。ワクチン接種が完了していない40~50代を中心に重症化する人が増え、病床逼迫(ひっぱく)の気配が濃厚に。16日には梅雨が明け、冷房の効いた室内で換気の機会が減っていき、五輪のカウントダウンとともに人々が開放的になる夏休みが来る。

 「今までとはフェーズが違う」と危機感を前面に出し、これから2カ月間のヤマ場にもう一度、原点に戻り自粛と行動変容のご協力をと、お願いのメッセージを絞り出した尾身氏。ワクチンに関しても、「全国民の60%の接種率で集団免疫ができるほど、生やさしいものではない」「(自分から他者に対する)感染予防まで本当にできるのか。ネガティブ(否定的)な研究も出てきた」と話し、過信を厳に戒めた。

 会見終盤。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が、ウイルス感染状況に改善が見られた場合の有観客五輪を求めたことへの見解を問われ、尾身氏は「われわれの普通の判断では(可能性は)ない」。危機認識の落差に言葉が続かなかったのか、苦り切った表情を浮かべた。

(河合仁志)

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