エコじゃない?給食牛乳、瓶から紙パックへ 再利用は採算厳しく焼却処分

 福岡県久留米市の学校給食の牛乳瓶が、本年度から紙パックに変更された。乳業メーカーが設備の老朽化で瓶の製造を減らしているためで、県内17市町村も同様に変わった。ただ、これまで空き瓶をリサイクルしていた久留米市では、紙パックを焼却処分することになり「環境教育に反する」と疑問の声が上がる。市は現在も再利用を模索しているが、処分方法には自治体によって差があり、業界全体の苦難も見える。

 久留米市の場合、過去にも瓶から紙パックに変更されたことがある。1988年のことだ。リサイクル機運の高まりを受け、98年から再び瓶を採用した。

 昨年5月時点で市立校に1日約2万8千本が提供されている。瓶は児童が洗い、契約する雪印メグミルクが回収して再利用していた。

 メグミルクから紙パックへの変更通知を受けた市は、再利用を断念。可燃ごみは年間約60トン増加する。現在、九州の主な市では鹿児島市、佐賀市、宮崎市が全量を焼却処分。福岡市では大半、長崎市でも半数以上を焼却している。

 牛乳パックのリサイクルを推進する全国牛乳容器環境協議会によると、給食用パックをリサイクルできるかは(1)回収、運搬して採算が合うか(2)各校で洗浄、乾燥などの作業ができるか―にかかっているという。

 (1)については、紙パックを溶かしてパルプを取り出す大規模な再生紙工場の少なさがネック。九州では北九州市に1カ所、全国で10カ所ほどしかなく、遠いほどコストがかかる。

 さらに給食用の200ミリリットルパックは小型で、得られるパルプ量が少ないため採算ラインが厳しい。このため回収業者が少なく、市内で業者が見つからない久留米市は、市外への運搬費だけで年1900万円かかると試算した。

 同様に今春から紙パックへ移行した福岡県筑前町は、町内に小型パックも回収する業者があり、地域の廃品回収ルートを活用することで月5千円程度に抑えられたという。

 (2)の学校での作業についても、久留米市は教育現場の負担が大きいと判断した。一方、再利用を行っている市のうち熊本市は各校で洗って乾かし、業者に引き渡している。大分市は洗わないままのパックを業者に回収してもらい、処理費を給食費に上乗せしている。

 協議会によると、そもそも給食に限らず牛乳パック自体の回収率は微減傾向で、現在4割程度にとどまる。10年ほど前に比べ、市民のリサイクル意識が低下していることに加え、古紙の買い取り先が減って相場が下がったことで、回収する業者が減ったのも影響しているという。

 遠藤雅人常務理事は「採算の合わない回収、運搬を回収業者が善意で引き受けるケースも多い。乳業メーカーとともにリサイクルの流れを考え直さなければ」と話した。

(平峰麻由)

 学校給食の牛乳 日本乳業協会によると、学校給食での牛乳提供は1958年ごろ始まった。当初は瓶が主流だったが、60年代後半から軽くて割れない紙パックに徐々に移行。農林水産省の調査によると、2019年には瓶の割合は約15%にまで減った。瓶の製造ライン老朽化も紙パック化を後押ししている。雪印メグミルクは「給食の牛乳納入は毎年の入札で決まるため、確約されておらず設備投資に踏み切りづらい。夏休みなどもあり通年で製造ラインを動かせないのも難点」と説明している。

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