中国で「地方の権力者」なりすまし詐欺横行 通信アプリで送金依頼

 【北京・坂本信博】中国共産党創建100周年を迎えた中国で、党の地方組織トップの「書記」になりすました人物によるオンライン送金詐欺が横行している。高齢者にも普及しているスマートフォンの通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を悪用し、偽書記が市民に直接高額な送金を依頼する手口で、公安当局が注意を呼び掛けている。

 中国メディアによると、遼寧省大連市に住む男性のウィーチャットに、地元の共産党委員会書記を名乗る人物から友人申請が届いた。翌日、書記は「上層部の訪問に同行しており、あなたに手伝ってほしい緊急の用件がある」とメッセージを送ってきた。男性の銀行口座に10万元(約170万円)を振り込むので、別の人物に大至急転送してほしいという内容だった。

 男性が口座番号を伝えると、男性の口座に10万元を振り込んだことを示すモバイルバンキングのスクリーンショット(画面保存)が送られてきた。画像は巧妙に偽造されたものだったが、書記にせかされたため男性は入金を確認せず、指定された銀行口座に10万元を送金してしまったという。

 書記は地元の最高権力者であり「(男性は)指導者への敬意から、本人確認をしたり、詳しい事情を聴いたりすることがはばかられた」と中国メディアは指摘する。同様の犯罪が各地で起きているという。

 中国では国を挙げて共産党の功績をたたえ、一党支配の正統性を誇るキャンペーンが繰り広げられている。中国メディアの関係者は「党の方針に疑いを挟みにくい今の風潮を犯罪者が悪用している」と指摘した。

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