危険度高い病原体研究「BSL4」長崎大に30日完成

 新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)収束が見通せない中、エボラウイルスなど危険度の高い病原体を研究する「バイオセーフティーレベル(BSL)4」施設が30日、長崎市の長崎大坂本キャンパスに完成する。計画発表から11年。地元では今も安全性を疑問視する声がある。大学側は研究対象を新型コロナなど社会的なニーズが高まっているレベル3の病原体にも広げ、国内の感染症対策の拠点に位置付けたい考えだ。

 「(大学内の)全ての施設を総合的に使い感染症研究を進めたい」。河野茂学長は15日の記者会見で意気込みを語った。

 キャンパスのほぼ中央にできた施設は鉄筋コンクリート5階建て。レベル4の病原体を扱う実験室は2階に2室。複数の重い扉で遮られ、窓はない。4階にはレベル2、3の病原体を扱う実験室も備える。隣接地には研究者の技術を高める訓練を行う研究棟も本年度末に着工する予定だ。

 コロナ禍ではワクチン開発など国内の感染症対策の遅れが指摘された。学内に設置された感染症強化に向けたワーキンググループは今年3月、施設を幅広い種類の病原体の研究に活用することが適切、との内容の提言書を提出。施設は厚生労働省の認可手続きを経て2022年度以降に本格稼働する見込みだが、大学側は先行してレベル2、3の病原体による試運転を始める予定だ。

 国立感染症研究所は昨年の報告書で「世界で人、モノの往来が活発となった現在、BSL4病原体の国内への侵入とこれによる感染症はいつでも発生する」と警告し、バイオテロの危険性も指摘した。実際、感染症は人類の新たな脅威として認識され、各国は対策を急いでいる。長崎大BSL4施設設置準備室長の安田二朗・同大熱帯医学研究所教授は「他大学や海外からの研究者も受け入れ、新興感染症の発生に備えたい」と今後を見据える。

 一方、新型コロナを巡っては一時、中国・武漢の研究所からのウイルス漏えいが疑われたこともあり、同種施設に対する地域住民の不安は根強い。キャンパス周辺には地元自治会が連名で反対を訴える横断幕が掲げられ、長崎地裁では住民らが大学を相手取った計画中断や情報公開を求める訴訟など3件が係争中だ。住民の一人は「大学は『世界最高水準の安全性の確保』とアピールするが、信用できない」と話す。 (坪井映里香)

 BSL4施設 世界保健機関(WHO)による分類で、最も危険でワクチンや治療薬がなく、致死率の高い「レベル4」の病原体を扱える施設。国内では国立感染症研究所村山庁舎に次ぐ2カ所目で、長崎大は2010年に計画を発表。16年に政府が「国策」として推進を決定、18年12月に着工した。

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