中止、開催、延期どれでも傷つく人がいた 異例の五輪の「顔」2人に寄せる親心

 東京五輪・パラリンピックの大会マスコットをデザインした谷口亮さん(46)=福岡市城南区=は、23日の開会式を会場の国立競技場で見守る。「夢じゃなかろうか」と、どてら姿で喜びを語った採用決定から3年5カ月。世界と五輪、自身を取り巻く状況は大きく変わった。「ミライトワ」「ソメイティ」との“再会”も約2年ぶり。「盛り上がりに欠ける五輪は悲しいけど、悪いのは新型コロナ。2人にはみんなのモヤモヤを少しでも和ませ、楽しませる役目を頑張ってほしい」と親心をのぞかせる。

 直前まで「中止」を求める声が根強かった今大会。「中止、開催、延期、どれも迷惑を被る人、傷つく人がいる。正解はないなと自分の答えは出なかった」

 デザインしたミライトワとソメイティは、大会エンブレムでも採用された市松模様を取り入れ、日本、東京らしい「伝統」と「近未来感」が融合する「かっこかわいいをイメージ」。全国各地に、グッズを販売する公式ショップが設けられた。コロナ禍前は「これほど認知されているマスコットはない」(組織委員会関係者)と注目されたものの、コロナ禍の中で状況は一変。「こんなグッズなんていらない」―。インターネットでは「象徴」であるマスコットに嫌悪感を示す書き込みも目にしてきた。

 「コロナは天災。自分なら、そんな批判はしないと思ったけど、受け止めるしかなかった」。五輪関連イベントなどへの出席で、月1、2回あった上京の機会もなくなり、企業の広告費の削減で、請け負うはずだったキャラクターデザインの仕事が白紙になるなど生活にも影響があった。なるべくネットを見ないようにし、心を保ってきた。

 コロナ以外でも、頻発した不祥事に心を痛める。開会式の楽曲制作担当だったミュージシャン小山田圭吾氏(52)が辞任した問題では、学生時代のいじめを告白した過去の雑誌のインタビュー記事を全て読んだ。「あまりに内容がひどく、辞任は避けられなかったと思う」。批判の的にされがちな組織委の現場スタッフとは交流がある。疲弊していないか、裏方の人たちが気掛かりだ。

 招待された開会式の内容は全く知らされていない。「主役のアスリートには罪はない。コロナを気にせず、平常心で、最高のパフォーマンスができるような空気感をつくり出してほしい」。ミライトワとソメイティに期待する。自身もいつも通り、夏の普段着のアロハシャツとげたで出席する。

 (吉田真紀、才木希)

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