デルタ株深刻化…米のワクチン懐疑派も一転接種訴え

 【ワシントン金子渡】米国で新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染が深刻化する中、一部の共和党幹部や保守系メディアから積極的にワクチン接種を呼び掛ける動きが出ている。同党支持者には反ワクチンの陰謀論を信じる人が多く、接種を妨げる大きな要因となっていた。

 米疾病対策センター(CDC)は20日、新規感染者のうちデルタ株が83%を占め、ワクチン接種率が低い地域では90%に達する可能性があると発表。1日平均の新規感染者数は、前週から55%増の3万7千人超に上る。感染の再拡大を懸念するバイデン政権は接種を強く推奨するが、接種ペースは伸び悩んでいる。

 「できる限り早くワクチンを接種しないと、秋には昨年のような悲惨な状況に戻ってしまう」。共和党上院トップのマコネル院内総務は20日の定例会見で、未接種者に対してこう警告した。

 CNNテレビの調査によると、5月時点で連邦議会両院の全民主党議員が接種を終えたのに対し、共和党議員の接種率は下院44・8%、上院92%にとどまる。これまで接種を拒否してきた共和党下院ナンバー2のスカリス院内幹事は、先週末に初めてワクチンを受けた。同氏は「ワクチンが安全で効果的かどうかちゅうちょすべきではない」と述べ、同僚議員や支持者に接種を呼び掛ける。

 ワクチン効果に懐疑的な報道をしてきた保守系メディアにも変化が出ている。FOXニュースは19日、出演者がワクチンを支持する姿勢を打ち出し、接種の案内サイトを紹介するテロップを放送。かつて新型コロナをデマと主張していた、司会者のハニティー氏は「コロナを真剣に受け止めてください。私はワクチン接種に科学的根拠があると信じている」と視聴者に語りかけた。

 ニュースマックス社の最高経営責任者(CEO)であるラディ氏も、ウェブサイトにバイデン政権のワクチン政策を称賛する社説を掲載。「ワクチンをもっと早く利用していれば、数え切れないほどの命が救われていたことは間違いない」と訴えた。

 ただ、依然としてワクチンの安全性に関する悪質な偽情報や陰謀論を広げる動きはやまない。ワシントン・ポストとABCニュースが今月発表した世論調査によると、共和党支持者でワクチンを「恐らく受けない」と答えた人は47%で、38%が「絶対に受けない」と回答している。

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