脱炭素社会へ 「再エネ倍増」の道筋示せ

 日本が2050年までに脱炭素社会を実現するには、再生可能エネルギーの最大限の導入が欠かせない。国のエネルギー政策を再生エネ最優先に転換し、社会全体で取り組まねばならない局面だろう。

 その中長期的な指針となる「エネルギー基本計画」の素案を経済産業省が先週公表した。

 注目された30年度の電源構成目標では、再生エネを36~38%と設定した。19年度実績18・1%の約2倍である。再生エネの拡大は世界の潮流でもあり、その流れに沿って、再生エネを最優先する姿勢を明確にした点は評価できる。

 目標設定だけでなく、達成までの具体的な道筋を示すことが指針の役割である。素案は、その点では十分と言えない。有識者会議でも「今回の目標は数字合わせで、実現するのは難しい」との指摘があった。

 数字合わせとの評価にはやむを得ない面もある。菅義偉首相が表明した「30年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する」という目標と、矛盾のないシナリオを描く必要に迫られたからだ。

 その達成には、電力消費量全体を削減し、再生エネを増やしていくしか方法はない。潜在力が大きい洋上風力発電環境影響評価(アセスメント)などで導入に時間がかかる。短期間に設置できるのは太陽光発電しかない。経産省も「野心的な目標」であると認めている。

 再生エネの大量導入には、太陽光や風力といった天候に左右されやすい電源を全体でカバーするシステムの構築が必要だ。電力の安定供給のための調整電源として火力発電も一定規模を残さねばならない。

 燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアの利用を拡大し、液化天然ガス(LNG)や石炭の火力発電から出るCO2を低コストで回収、貯蔵、再利用する技術開発も待ったなしだ。

 30年度はあくまで通過点にすぎない。太陽光と並び再生エネの柱となる風力の割合を一段と高める必要がある。地熱や潮流など発電出力が安定した再生エネ電源の事業化も急ぎたい。将来は周辺環境に配慮しつつ再生エネ100%を目指すべきだ。

 もう一つの焦点だった原発について素案は、30年度の電源比率目標で20~22%と現状から据え置いた。原発約30基の運転が前提となるが、再稼働済みの原発は10基で達成は不透明だ。

 30年度に新設する場合の発電コストは、原発より事業用太陽光や風力の方が安いとの試算結果が出た。コスト面でも原発の優位性は乏しい。脱原発へかじを切るよう政府に求めたい。

PR

古代史講座

  • 2021年9月22日(水)
  • アクロス福岡 2階セミナー室2

PR