「そんなばかな」30センチ先で粉じん、でも給付対象外 石綿の傷深く

埋もれた声 石綿被害救済を追う(上)

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんなどの病気になった元労働者らが損害賠償を求めた訴訟で5月、最高裁が国と建材メーカーの責任を認める判決を言い渡した。国は和解に合意し、訴訟を起こしていない被害者にも給付金を支給する制度を設けたが、なお救済から漏れる人はいる。危険な環境と知らずに働いた人を、労災などの既存制度とは別に、法的責任を基に救う仕組みで全面解決に向かうのか。被害の現場から考える。 (編集委員・河野賢治) 

 「もう酸素ボンベがないと生きていけんです」

 福岡県内の男性(71)の声は震えていた。石綿を吸い込み、じん肺の一種「石綿肺」になった。酸素吸入機が手放せず、2分ほど話すと声を出せなくなった。

 男性は20代半ばの1975年、一戸建て住宅の建設現場で屋根瓦を切断、加工する仕事に就いた。屋根の上に座って片膝をつき、電動のこぎりで瓦を切る。手元から顔まで約30センチ。飛び散る粉じんを顔や全身に浴びた。瓦に石綿が含まれているとは知らなかった。...

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