コロナ急拡大 危機感高め対策練り直せ

 懸念された事態が現実となってきた。新型コロナウイルスの新規感染者が五輪開催中の東京都で連日、過去最多を更新し、地方でも急拡大している。

 専門家は「ワクチン頼みだけでこの危機は乗り越えられない」と警告している。政府は一連の対策が手詰まり状態にあることを直視し、局面打開へ新たな一手の検討を急ぐべきだ。

 コロナの新規感染者は五輪開幕前から東京で千人を超える状況が続いていた。それが今週に入って一気に膨らみ、隣接する首都圏3県や大阪、福岡などでも感染者が顕著に増えている。

 ウイルスが感染力の強い変異株であるデルタ株へと置き換わり、20~30代を中心に中年層以下の世代の感染、重症例が目立っているのが大きな特徴だ。

 ワクチン接種が進んだ高齢世代の感染は抑えられてきた。政府はその成果をアピールし、ワクチン供給の目詰まり解消を図り、50代以下への接種を急ぐ方針を示している。だが従来の対策を延長するだけでは、医療供給体制の逼迫(ひっぱく)は避けられないとの見方が強まっている。

 菅義偉首相は事態の深刻さを自らの言葉で国民に伝え、危機意識を喚起すべきだ。

 その上で、政府に二つの取り組みを求めたい。一つは緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の効果がもはや限定的になっている現状を見据え、対策全般をここで練り直すことだ。

 飲食店に特化した休業や時短要請以外に人の流れを抑制する手だてはないのか。検査体制やワクチンの接種ルート、医療連携などは現在以上の拡充の余地はないのか。あらゆる観点から検討し、必要な措置は五輪期間中であっても迷うことなく実施に移すことが肝要である。

 もう一つは、ワクチンの効果を過信せず、冷静に見極めることだ。欧米では接種の進展に伴い規制を解除した結果、感染が再拡大する事態が生じている。接種率が一定の段階から伸び悩み、若い世代に感染への油断が広がったことが要因という。

 政府は次期衆院選もにらみ、秋までに希望者全員への接種完了を目標に掲げる。ただ接種は任意であり、欧米と同様の事態は日本でも起こり得る。集団免疫の獲得までの長期戦略を描くとともに、治療薬の開発などにも全力を挙げてほしい。

 感染者が増えている福岡県も再び、飲食店への時短要請に乗り出す。医療供給体制の維持を優先しつつ、従来以上に警戒感を強めたい。

 現状は言うまでもなく、私たち国民一人一人にも行動変容を強く求めている。コロナとの闘いは依然、先の見えない長丁場であることを再認識したい。

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