感染拡大と五輪 真価問われる「安全安心」

 日本選手のメダルラッシュに沸く傍らで、新型コロナウイルスの感染が爆発的に再拡大している。「安全安心な大会」を強調してきた東京五輪運営の真価が問われる局面である。

 競技会場が集中する東京都の新規感染者は五輪の開幕以降、猛烈な勢いで増えている。専門家の予測を上回るペースだ。東京都に続き、隣接する埼玉、千葉、神奈川3県にも緊急事態宣言が出ることになった。

 五輪関係者も無縁ではない。きのうは海外選手3人を含む27人のウイルス検査陽性が発表された。1日当たりで最多だ。7月の陽性者は累計200人を超えた。ウイルスは大会の運営に携わる委託業者、報道関係、ボランティアなど、さまざまな人たちに広がっている。最大限の警戒が求められる。

 選手村滞在中に陽性が確認された海外選手もいる。陽性判明によって出場を断念した選手は無念の思いでいっぱいだろう。これもコロナ下で開催する五輪の厳しい現実である。

 選手は原則として、検査を毎日受けることが義務付けられている。行動範囲を制限し、外部の人々とは接触しない「バブル方式」で感染を防いでいるはずだが、空港や宿泊施設などでは「一般市民との遮断が不十分」とかねて指摘されていた。

 大会は中盤に入った。新たに選手村へ入った選手団もある。大会組織委員会はバブル方式のほころびを繕い、あらゆる関係者の感染予防を改めて徹底すべきだ。不十分なら競技に支障が出かねない。

 組織委は「われわれから感染を広げていることはない」と強調する。それをパラリンピック終了まで完遂することが責務である。五輪関係者を通じて国内外にウイルスを広げる事態は、何としても避けねばならない。選手村から空港に至る対策の点検が常に必要だ。

 組織委のコロナ対応で納得できないのが陽性者の情報公開である。人数こそ毎日発表するが国籍や症状は伏せている。詳細が明らかになるのは当事国から発表された場合に限られる。

 プライバシーを保護するためと組織委は説明する。ただ効果的な予防策は具体的な情報が前提であろう。増え続ける陽性者の情報が乏しいと、同じ「バブル」の中にいる選手団の不安を高めることにもなる。情報提供の在り方は見直すべきだ。

 感染状況をこれ以上悪化させないためには、私たち応援する側の意識も大切だ。開会式の日は会場一帯に花火などの見物に訪れる人々が密集した。競技会場のない九州でも、ゆかりの選手の応援で集まることはある。感染対策に十分注意したい。

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