ミャンマー情勢 「軍政容認せず」を行動で

 ミャンマーで2月1日に国軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー国家顧問らを拘束し権力を掌握して6カ月となった。国際社会のさまざまな働き掛けにもかかわらず、軍政は不当に奪った権力を手放すそぶりすら見せず、強権的な支配体制を固めつつある。この事態を看過してはならない。

 クーデター以降、軍政は反軍政で立ち上がった市民デモを容赦なく弾圧し、軍政批判の活動家や報道関係者を次々と拘束するなど、力による抑え込みを進める。このためデモは小規模化し、当局と市民の大きな衝突も減ってはいるが、市民の軍政への怒りは日々蓄積している。

 欧米を中心に国際社会はスー・チー氏らの解放を軍政に求めている。しかし軍政は汚職など根拠不明の罪名でスー・チー氏を数回にわたって起訴した。

 スー・チー氏を支持する市民など民主化勢力は軍政に対抗して「挙国一致政府」の発足を宣言した。軍政はそのメンバーを相次いで指名手配し、対話に応じる姿勢も見せていない。

 4月の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議には軍政トップも参加し、暴力の即時停止やASEAN特使派遣など5項目で合意した。だがその後、合意は全く実現していない。

 6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)も、拘束された人々の即時解放などを求める声明を出した。それも軍政は無視したままだ。国際社会に背を向ける軍事政権を動かす難しさが一段と浮き彫りになってきた。

 日本政府は、茂木敏充外相がミャンマーへの政府開発援助(ODA)の全面停止も辞さない構えを示唆したものの、全面停止には踏み切っていない。

 日本政府はこれまで、国軍とのパイプを生かして軍政に働き掛ける方針を示してきた。けれど、実際に何をしているのかが見えてこない。言葉だけの非難では軍政は動かせず、結果として軍政の追認になりかねない。日本政府は「軍政を容認せず」を行動で示すべきである。

 いまミャンマー国内では新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している。軍政への不服従運動の影響で、医療現場が混乱しているのも一因だ。国際社会の早急な支援が望まれる。

 日本で暮らすミャンマー人たちも母国の現状に心を痛めている。日本国内でミャンマーの民主化を求める人々への連携の意思を示すとともに、彼らの境遇にも特段の配慮が必要だ。

 日本政府はミャンマー国民を苦しめないように気を配りながら、軍政に対して効果的に圧力をかける道を探るべきである。ミャンマー国民の日本への期待を裏切ってはならない。

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