香春町の学校跡地6カ所どう活用 地域交流施設、宅地化、消防署施設…

 福岡県香春町では今春、町内にある全ての小中学校を統合して義務教育学校を開設したのに伴い、一度に五つの学校跡地ができた。閉校から14年を過ぎた旧田川農林高も残る。町長選と町議補選の告示を3日に控える同町。それぞれに地域の“重し”だった「6校の跡地」の活用は重要だ。現状を探った。 (坂本公司)

 空の本棚を背に、十数人が席に着いた。3月に閉校した旧採銅所小の図書室。7月20日夕、小学校がなくなった校区を住みよい地域として持続させる方策を考える住民の団体「採銅所地域運営組織設立準備会」の会合があった。

 準備会は3月発足。定期的にメンバーが集まり、本年度内を目標に校区の「未来計画」をつくることにしている。買い物、防災、高齢者などの見守り、農業の担い手などテーマは多岐にわたり、道筋を描いた上で、旧校舎の機能を決める。住民から意見を募るワークショップも6月に開いた。

 来年度以降、準備会が新たな地域運営組織を立ち上げ、校舎を自主的に運営することを想定している。準備会の大坪松雄会長(72)は「住民の望むことを吸い上げ、やれることを考えていく。今が一番大事なとき」と力を込める。

 閉校の約1カ月前、農協の採銅所支所が廃止になったこともあり地域の危機感は強い。「朝、登校している子どもの声が聞こえないのは寂しい」と、旧校舎近くに住む有吉義邦さん(77)は思いを語る。

 香春町では町内にあった小学4校中学2校の全校を3月に閉校した。そのうちの旧勾金(まがりかね)中の敷地に9年制の義務教育学校「香春思永館(しえいかん)」が4月開校。それまで6校に通った児童生徒らを受け入れた。

 旧勾金中を除く5校の学校跡地活用法は町の大きな課題となった。町は6校統合前の昨年11月、小中学校跡地利活用計画を校区住民らによる十数回のワークショップを踏まえて策定。計画が示した方向性に向けて、住民と対話の場を設けながら跡地ごとに取り組みを進めるとしている。

 跡地ごとの方向性は、旧採銅所小が「地域コミュニティー施設を核とした複合施設」▽旧香春小と旧中津原小は提案型公募により利活用者を募集▽旧勾金小は民間事業者による宅地化など▽旧香春中は田川地区消防分遣所の誘致を目指す-とそれぞれ位置付けた。

 来年度以降、段階的に実際の公募や、新施設としての運用を始めるという。大枠のスケジュールはあるが、民間との交渉や住民の合意形成など「5校で一気に話が進むことは難しい」と町担当者も認める。学校は地域コミュニティーの中心という役割もあっただけに、土地建物の使い道だけでなく「地域をどうしていきたいか、住民と一緒に考えるタイミングと捉えている」と話す。

 人口約1万人の香春町は少子化が著しく、1990年に約1800人いた小中学生は2010年に半分を切った。高齢化率も県内自治体で4番目に高い41・4%(今年4月現在)。厳しい条件の中で、いかに持続可能な町の将来像を描けるか。学校跡地の活用にも、その浮沈が懸かっている。

   ◇    ◇

期成会が活用策検討 07年閉校の旧田川農林高

 香春町南西部には、2007年に閉校した旧県立田川農林高もある。1909年の創立以来1万2千人以上の卒業生を送り出した歴史を終え、田川科学技術高(田川市糒)に統合された。

 敷地は実習農地も含め約7万8千平方メートルに上る。現地はほとんどの建物が閉校時のまま残り、閉鎖されている。ここを「田川の財産」として生かそうと、田川市郡8市町村長や地元衆院議員、県議らが昨年5月、期成会を発足。活用の在り方の検討を進めている。

福岡県の天気予報

PR

PR