線状降水帯の予測成功 鹿児島で7月発生、研究グループ警戒地域特定

 鹿児島県で7月10日に線状降水帯が発生した際、防災科学技術研究所や気象研究所、福岡大などの実証研究グループが発生予測をしたところ、半日前に発生の可能性を検知し、発生2時間前には高い精度で警戒すべき地域を特定できていたことが分かった。

 線状降水帯の予報は技術的に難しく、気象庁は6月から発生確認後の情報提供を始めた段階。発生予測の成功は、予報技術が確実に実用化に近づいていることを示した形だ。

 実証研究は内閣府のプログラムとして2020年から九州で行われている。線状降水帯の発生を高精度で予測し、自治体に情報提供するシステム開発を目指す。

 鹿児島県薩摩地方で10日発生した線状降水帯について、研究グループは9日午後4時に「九州で今後線状降水帯が発生する可能性がある」と予測。情報を鹿児島市や熊本県八代市など研究に参加協力する九州10自治体にメール送信した。

 9日深夜からは、雨量に基づく10分更新の予測システムで「発生の恐れがある地域」として鹿児島県南部を繰り返し検知した。さらに10日午前1時10分には、「線状降水帯が2時間後に発生する可能性が高く、警戒すべき地域」を特定。これは同3時29分に気象庁が発生を確認した地域と重なっていた。

 線状降水帯は大量の水蒸気が流れ込んで発生するとされる。だが気象庁の観測網は貧弱なことから、研究グループは水蒸気を常時観測する最新機器「水蒸気ライダー」を長崎県と鹿児島県に設置。今夏から水蒸気情報をリアルタイムで活用する予測計算に着手し、これが予測精度の高さにつながったとみられるという。

 気象庁は6月から線状降水帯の発生を知らせる情報発信を開始し、来年は発生半日前の予測発表を始める方針。23年3月までの実証研究の成果も取り込み、30年には高い確率での予測を目指す。

 研究グループは電波を使った水蒸気の観測機器も九州の15カ所で本年度中に導入予定だ。防災科研の清水慎吾研究統括は「予測結果を検証し、自治体への情報提供の課題も洗い出しながら、精度の高いものを実用化させたい」と話す。

 (鶴加寿子)

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