1964年五輪と「戦前の影」 奥田英朗『オリンピックの身代金』

酒井信さん寄稿

 戦後日本が20歳に達していない「身の回りのすべてが青春」だった時代に開催された東京オリンピックを巡るサスペンスである。「なんて言うが、東京は、祝福を独り占めしでいるようなとごろがありますねえ」と呟(つぶや)く、秋田の農家の女性の言葉が、本作の基調低音を成している。1964年のオリン...

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