社長が暴力団と食事したツケ…「会社は倒産します」突然の失業

 「社長が暴力団関係者との食事会に参加していたと、警察から問題視されている」―。4月、地場大手の設備工事会社(大分市)が福岡市などの支店を結んで急きょ開いたテレビ会議。社員の男性は、会社側の説明に耳を疑った。

 福岡県警は、同社を含む8社の代表者らが指定暴力団幹部と「密接交際」していたと公表。これに対し社長は、社員向けの配布文書で「相手が暴力団関係者とは知らなかったが、警察の取り調べに知っていたと答えてしまった」と釈明した。

 一部の業者から取引が停止されるようになり、社員に動揺が広がった。テレビ会議から約2週間後の日曜の朝、社員が再び集められた。「会社は倒産します」と幹部。社員らは「社長は何と言っているのか」と詰め寄ったが、幹部は「詳しくは答えられない」と言うだけだった。

 やりがいを感じてきた仕事を突然失った。長年勤めたが、暴力団の影を感じたことすらなかった。男性は「暴力団の問題が身に降りかかってくるなんて想像もしていなかった」。県警に問い合わせても、何も教えてくれなかった。

 やりきれない思いを抱えながら再就職先を探し始めた。ある会社の面接会場。人事担当者が履歴書を見ながら、パソコンを操作した。画面に映ったのは、社長と組幹部の密接交際を伝える記事。「おたくの会社、反社(反社会的勢力)じゃないですか。あなたはヤクザじゃないですよね」。声を荒らげて否定すると「何ですか、その態度は。反社の会社の人はそんな感じなんですね」。理不尽な対応に怒りが収まらなかった。

 別の会社も「コンプライアンス(法令順守)上、暴力団と付き合いがあった会社の方は面接できない」と断られた。十数社に履歴書を送ったものの、書類選考で不採用が続いている。

 「人生を返してほしい」。かつての社長に連絡を取ったが「すみません」と泣き声で謝るばかりだった。

 別の元社員も、知人から「暴力団とずぶずぶだったから業績が伸びてたんじゃないですか」と皮肉を言われたという。「密接交際が事実なら、社長の個人的な行動で全てが台無しになってしまった。社員まで偏見の目で見られて納得できない」。ため息は深い。

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