「まだ倒れるわけには…」サッカー3位決定戦へ吉田が語った決意

 53年ぶりのメダルが持ち越され、力尽きたようにあおむけになった。延長までもつれた東京五輪サッカー男子の準決勝、スペイン戦。25歳以上のオーバーエージ(OA)枠で日本の主将を務めた吉田麻也(サンプドリア)=長崎市出身=は6日の3位決定戦へと切り替えた。「まだ倒れるわけにはいかない。勝ってメダリストで終わる」

 9年前の屈辱を晴らすため、32歳で迎えた自身3度目の五輪。19歳で挑んだ2008年北京五輪は1次リーグで全敗した。今回と同じOA枠で臨んだ12年ロンドン五輪は4強入りに貢献したが、メダルが目前に迫りながら準決勝でメキシコ、3位決定戦では韓国に敗れて4位だった。「キャリアの中で特に悔しさが残っている。オリンピアンとメダリストは違う」。心の澱(おり)のようにたまった。

 開幕直前の7月17日に強化試合でスペインと引き分けても「ロンドンでは大会前に(強化試合で)勝ったメキシコに敗れた。一喜一憂してはいけない」と引き締めた。予想通り劣勢に立たされたが、体を張って突破を許さない。後半10分すぎには味方のミスから招いた決定機に足を投げ出してボールをカット。一度は反則でPKと判定されたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)で取り消されて危機を救った。

 フル代表で通算107試合に出場し、ワールドカップ(W杯)では14年ブラジル、18年ロシアと2大会連続で守備陣の主力。「短期決戦は思った以上にあっという間に終わる」と自らの経験を東京五輪世代に落とし込んだ。1次リーグ3戦連続ゴールの久保建英(レアル・マドリード)には元日本代表の本田圭佑を引き合いに「チームを背負う存在になってもらう」と責任感を植え付けた。

 吉田はフル代表でも主将。W杯ロシア大会後に元日本代表主将の長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)からバトンを託された。「あれだけチームのことを考えてプレーできる選手は少なかった。どうあがいても長谷部誠にはなれない」。ピッチ外では年下の選手と気さくに話し、サッカー界の発展につながるならば批判覚悟で提言するなど自らが考えるリーダー像を追い求める。

 スペイン戦後、善戦をたたえる声に「いい試合をしたと美化されて終わるのではなく、結果を出して終わりたい」と返した。ロシアで「僕らは立ち止まってはいけない」と誓ってから約3年。大一番に全てを懸ける。 (末継智章)

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