李麗仙、夜の味

 54年前、18歳で上京した。東京は寂しい街だった。大学の若大将のような青春は待っていなかった。「漠然とした不安」を抱え、娑婆(しゃば)は嫌だと鬱屈(うっくつ)した日々を過ごしていた。ほっと寛げたのは新宿ゴールデン街、殿山や前田のカウンターで飲んでいる時だった。

 横断歩道を渡って、花園神社の中に状...

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