「事実を握りつぶさんために」米兵の死、記憶にとどめる地

復刻連載・忘却の罪 油山事件と慰霊(3)

 「超空の要塞(ようさい)」と呼ばれたB29も不死身ではなかった。先の大戦末期、空襲で飛来した米軍機の墜落が相次いだ。連合国軍総司令部(GHQ)の報告書によると、九州だけでも約180機。数百人が命を散らし、油山事件のように捕虜になって殺害された者もいる。

 だが、全国に散在する墜落場所で、彼らの死を記憶にとどめる地は数少ない。

 「地域の誰かが命を奪っていれば、慰霊がその人への反発になりかねん」

 和歌山県田辺市龍神村を訪ねると、元教員の古久保健さん(77)が話してくれた。この山深い村にもB29が墜落し、日本で初めて慰霊祭が開かれたとされる。

 搭乗員は11人で、7人が墜落死した。村人は遺体を河原で洗い、埋葬場所に十字架を立てた。4人には捕虜になるまで食事を与えている。慰霊祭は戦中から続け、今年5月5日で71回を数えた。その運営に古久保さんは長年携わってきた。

 「虐待しなかった分、行動に移しやすかったのかもしれん。私たちを親切だと思うのは間違い。誰にも慰霊の気持ちはあると思う」

 一方で十数年前、米国の資料で、村人が世話した捕虜が収容先の大阪で虐殺されていたことが判明した。

 「事実を知るほど嫌気が差してくる。それも含めて皆で共有した方がいい」

 慰霊祭には若い世代も目立ってきた。運営を託していこうと考えている。...

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