「総裁選に出馬します!」の背後に安倍氏? 首相、気になる「菅降ろし」

 菅義偉首相の自民党総裁の任期満了(9月30日)に伴う総裁選を巡る心理戦が熱を帯びている。首相ら党執行部は無投票再選による続投を最優先する構えで党内の「菅降ろし」に神経をとがらせるが、ここにきて安倍晋三前首相に近い高市早苗前総務相が立候補に意欲を表明。10月21日の衆院議員の任期満了が迫る党内には、支持率低迷にあえぐ首相をこのまま「選挙の顔」とすることに不安を寄せる向きもあり、実力者たちのさや当ても激しくなっている。

 「総裁選に出馬します!」。5日、高市氏のインタビュー記事を掲載した月刊誌「文芸春秋」の早刷りが、永田町を駆け巡った。

 3日には、首相の後見役である二階俊博幹事長が「総裁を代える意義が見つからない」と持論を展開し、党内ににらみを利かせたばかり。唐突な“出馬表明”に、党内ではこのような臆測が飛び交った。首相と二階氏を引きずり降ろすため、高市氏のバックに安倍氏が控えているのではないか-。

 高市氏は無派閥ながら、安倍氏とは1993年の初当選同期。第2次安倍政権以降、党政調会長、総務相の要職を歴任。保守派としても互いの思想信条に共鳴し合い、複数の議員連盟で共に席を並べる間柄だ。

 その高市氏は月刊誌で、安倍氏の経済政策「アベノミクス」を持ち上げる一方、首相については「自信も力強さも伝わらない」「(前回総裁選で党員投票が省略され)党員や国民の十分な信任を受ける機会がなかった」。首相の“泣きどころ”を痛烈に当てこすった。

 ただ、実際に安倍氏が「高市氏擁立」に動いた形跡は見えない。高市氏が立候補に必要な国会議員20人の推薦を確保できるかどうかが焦点で、高市氏は周囲に「まさかあんな記事になるなんてねー」と漏らしているという。党関係者は「(推薦人が)集まらないとみれば、すぐに発言を修正する含みがある」と解説してみせる。

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 とはいえ、高市氏がまいた火種は、着実に党内で火力を増している。

 安倍氏の出身派閥、細田派の衆院議員、高鳥修一・新潟県連会長は11日、衆院選前の総裁選実施を党本部に申し入れ、「談合による(無投票再選は)わが党の在り方としてマイナスだ」。下村博文政調会長も同日のBS-TBS番組で「われこそはという人が手を挙げて議論する総裁選は、党にとっては大切」と若手・中堅の動きに間髪入れず呼応してみせた。

 迎え撃つ側の首相サイドは穏やかではない。政府関係者は「総裁選になれば何が起こるか分からない」と首相の懸念を代弁する。「菅降ろし」を回避し、自らの手で衆院を解散し総選挙を実施、そして総裁の無投票再選に持ち込む-。この基本シナリオが狂うことに警戒を募らせる。

 こうした状況に、昨年の総裁選で首相に惨敗した岸田文雄前政調会長は、「チャンスがあれば挑戦したい」と様子見を決め込む。

 雪辱を果たすには他派閥からの協力が不可欠だが、最大の援軍と期待する麻生太郎副総理兼財務相は政権ナンバー2として首相を支える立場だ。8月初旬、助言を求めた岸田氏に麻生氏は「全国に支持を広げる努力をしろ。先のことを考えておくんだ」。二階氏との暗闘のさなかにある麻生氏としては、「岸田カード」を温存したい思惑も透ける。

 (大坪拓也、河合仁志)

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