「同じことの繰り返し」内水氾濫に住民疲弊 久留米、武雄で浸水被害

 激しい雨音で眠れずに朝を迎えると、自宅は茶色い泥水に囲まれていた-。14日も豪雨に見舞われた九州北部。佐賀県武雄市や福岡県久留米市では住宅浸水や道路の冠水が相次いだ。水路や下水道の排水が追い付かず、雨水が地表にあふれる「内水氾濫」が起きたという。両市周辺では近年同じ被害が繰り返されており、住民たちは疲れ切った表情を見せた。

 「大雨が怖く、昨夜から2階で過ごした」。同日午前、武雄市朝日町の自宅から消防のボートで助け出された福田タケ子さん(85)は振り返った。

 市内では支流の内水氾濫に加え、近くを流れる本流の六角川が一部で氾濫。東部を中心に住宅地などが濁った水で覆われた。市や近隣自治体では2019年にも冠水被害が起きている。

 自宅が浸水した同市朝日町の樋口勝則さん(56)は、13日夕から避難所に身を寄せる。前回浸水時は避難所で1カ月を過ごし、泥水に漬かった家具の片付けに加え、職場も被災した。「元の生活に戻るのに半年かかった。たった2年で同じことの繰り返し。これからを考えると力が抜けてしまう」と頭を抱えた。

 市と隣接する大町町の順天堂病院は周囲を泥水で囲まれ、前回に続き孤立状態となった。町によると、雨水が建物内部に入り、入院患者を上階に避難させたという。周辺でも消防への救助要請が相次いだ。

 筑後川が流れる久留米市。14日午前までの24時間降水量は、観測史上最大の387ミリとなった。支流では内水氾濫が起き、4年連続で市街地や田園地帯が水に漬かった。

 市によると、支流では本流からの逆流を防ぐため合流点の水門を閉鎖。本流にポンプで水を送るものの、処理できなくなった雨水が広域であふれた。ポンプを増やし、堤防のかさ上げにも取り組んでいるが、圧倒的な雨量に及ばなかった。

 一部で道路が冠水した市中心部では、消防のボートで助け出される住民がいた。水をかき分けながら各戸を回り、取り残された人がいないかを見回っていた消防隊員は「水位が首の高さまである場所があった」と話した。

 膝まで水に漬かりながら自力で避難していた女性は「これほどの浸水は初めて。アパートの2階に住んでいるが、1階が浸水したので知人宅に避難する」と声を震わせた。

(糸山信、山下航、野村大輔、野津原広中)

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