バケツリレーで泥かき出し…「もうだめ」75歳救った土砂との格闘18時間

 福岡県添田町の民家の裏山が崩れ、土砂に閉じ込められた女性(75)が18時間ぶりに救助された。救出作業は、水分を多く含む不安定な土砂との格闘だった。家屋倒壊による二次災害の危険もある中、県警機動隊と地元消防の隊員は女性を励ましながら、シャベルや素手で土砂をかき出した。

 「家が壊れて下敷きになった」。女性から119番があったのは15日午前1時40分ごろ。田川地区消防署特別救助小隊長の木森涼介さん(39)は午前3時前、現場に到着。警察官と夫(74)が、1階で膝下が土砂に埋まっている女性を助け出そうとしていた。

 「倒壊しかねない」。直感した木森さんは夫を制止した。土砂は、家の壁と屋根を突き破り視界いっぱいに広がっていた。

 同5時ごろ、県警機動隊数十人も合流し本格的な救助活動が始まる。大人数が同時に家屋内に入るのは危険と判断。5人一組で、15分ごとに交代して作業に当たった。一気に土砂を撤去すると倒壊の恐れもあり、重機は使えない。鉄パイプや木材で補強し、シャベルと素手、バケツリレーの人力で土砂や木片を取り除いた。

 「苦しい。もうだめ」

 気丈だった女性が弱気な言葉を漏らす。「大丈夫。こんなに土が取れたよ」。木森さんらは声を掛け続けた。土砂を伝う山水が女性の体温を奪うため、掛けた毛布を定期的に替えた。飯塚病院(同県飯塚市)の医師も脱水症状など容体が急変しないよう点滴を行い見守った。

 午後7時半すぎ、女性は助け出された。「すみません。ありがとう」。礼を言う女性にほっとしたという木森さん。「自宅に裏山があり戸外への避難ができない場合は、裏山と反対側の2階以上へ避難して」と呼び掛けた。

 (吉川文敬)

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