お願いベースに限界…「法律で外出制限」踏み込み始めた専門家

 感染が急拡大している新型コロナウイルスを巡り、法律で個人の行動に制限をかけ、封じ込めを図ろうとする論調が高まっている。福岡県を含む7府県への緊急事態宣言発出などを議論した政府の基本的対処方針分科会で17日、複数の専門家が「法的仕組みの検討」を提起。全国知事会も強制力を伴う外出制限に向けた法整備を求めている。ただ、政府は「成功している国は少ない」として慎重だ。

 分科会の尾身茂会長はこの日の分科会後、記者団に、行動制限を可能とする法整備を求める意見が相次いだことを強調した。有効な感染抑制策と位置付ける人々の接触機会の削減について、「お願いベース」で個人の協力に頼るしかない現状を踏まえ、「わが国が直面している最大の課題、ジレンマ」とも表現。「早急に検討してほしいという強い意見が出た」と述べた。

 前回、5日の分科会でもメンバーの一部から同様の見解が出ていたが、その時よりも踏みこんだ形だ。専門家の間には、私権制限を強めてでも実効性のある対策を取らなければ、手遅れになるとの危機感がある。

 かつてない感染爆発と医療の危機的状況にもかかわらず、打開に向けた手だてを見いだせない政府に対し、「外出規制」に乗り出す機は熟したとの声は、与野党を問わず上がっている。

 自民党の下村博文政調会長は「現行法の改正で対応できる」との立場。国民民主党の玉木雄一郎代表もこの日、「個人への外出禁止命令を十分な経済的補償とセットで導入することを検討すべきだ」と提案し、早急に臨時国会を開いての議論を求めた。

 一方、私権制限に関わるため政府内での議論は必ずしも進んでいない。「日本でロックダウン(都市封鎖)という手法はなじまない」と断言する菅義偉首相の念頭には、強制力を行使した海外でも感染対策に効果を上げたとは言えず、世論の批判だけを招きかねないとの計算もあるようだ。

 (東京支社取材班)

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