コロナ対策 国会を開き与野党で競え

 憲法に基づく臨時国会召集の要求を、菅義偉首相は1カ月以上も放置している。この間、新型コロナウイルスの感染は急拡大し、政府の手詰まり感は極まってきた。災害級と呼ばれる危機から一刻も早く脱するため、国会を開いて与野党で知恵を競うべきである。

 野党4党が臨時国会召集を求めたのは先月16日のことだ。2千から3千人台だった1日の新規感染者は2万人を超えるようになった。医療現場の逼迫(ひっぱく)は深刻さを増している。

 政府の後手後手の対応と迷走ぶりは目に余る。ワクチンに頼り切った「根拠なき楽観論」に立っていたかと思うと、唐突に入院制限を打ち出したのは、まさにその象徴だろう。

 国内で感染が確認されて1年半以上になるのに、必要な医療体制を整備できず、ウイルス変異株の脅威も事前に指摘されていながら爆発的感染を許してしまった。数少ない対策の一つである緊急事態宣言も国民の行動変容を促せず、感染拡大に歯止めすらかからない。

 今回の宣言延長に至った責任を記者団に問われ、菅首相は「目先のことを全力でやるのが私の責務」と返したが、長期的出口戦略を描けないことが現在の事態を招いた要因ではないか。

 政府と与党の間でさえ意思疎通の欠如がうかがえることも気掛かりだ。西村康稔経済再生担当相が与党に説明もなく、酒類提供する飲食店への締め付け策を打ち出して批判を浴びた後、政府と与党の連絡会議が設けられた。にもかかわらず、その後の入院制限の方針転換は与党側に伝わっていなかった。

 国民の命や健康に直結する問題で独断専行は許されない。与野党を問わず、いさめるべきはいさめ、より良き道を探るべきだ。その場は国会しかない。

 菅首相自身、17日の記者会見で病床確保などを巡り法整備の必要性に言及した。ならば速やかに召集要求に応じるべきだ。

 10月に衆院議員の任期満了が迫る中、国政の最重要課題であるコロナ対策について、首相はこのまま国会で何も語らずに済ませるつもりなのか。それでは責任放棄のそしりを免れまい。

 総選挙に加え、自民党総裁選まで控える時期ではある。ただ現状は政争にかまけている余裕などない。各党は今こそ政策を競い合って存在感を示すべきだろう。そうした環境を整え、議論を導くのも与党の役割だ。

 野党も単なる揚げ足取りや政権の苦境に乗じた挑発は厳に慎まなければならない。大切なのは具体的な提案に基づく建設的議論であり、党利党略を排して国民生活を見据えなければ、有権者から見透かされよう。

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