感染おびえる福岡の妊婦 搬送先なし現実味「破水や陣痛始まったら」

 千葉県柏市で新型コロナウイルスに感染した妊婦の入院受け入れ先が見つからず、自宅療養中に早産した男児が死亡した。感染者が急増する福岡県内の妊婦からは「感染したら産む場所はあるのか」と不安の声が上がる。「第4波」(4~5月)では、県内でも搬送先がなかなか見つからない事例があった。感染症の治療をしながら妊婦に対応できる病院は限られ、大幅に専用病床を増やすことは難しい。妊婦の多くは家族から感染しており、専門家は「ウイルスを家に持ち込まないようにすることが大切だ」と呼び掛ける。

 「感染した時に、破水や陣痛が始まったらどうしよう」。約1週間後に帝王切開での出産を控える福岡市の30代の女性は気が気でない。急速な感染拡大で最近、身近な人も感染した。自身の経過は順調だが、感染すればかかりつけの医院では出産できない。「万が一の時、受け入れてくれる所はあるのでしょうか」

 妊娠中の感染者に対応する病床を増やすことは容易ではない。感染症の治療をしながらおなかの子が順調かを診る必要があり、感染症内科医に加えて産婦人科医が必要だ。さらに、早産のリスクがあれば新生児集中治療室(NICU)や小児科医も求められる。

 県によると、周産期母子医療センターがある病院など県内約20の医療機関が妊娠中の感染者を受け入れ、低出生体重児のケアに対応できる病院もある。ただ、感染した妊婦の専用病床はない。県内全体の病床使用率は61・5%(20日現在)。さらに入院患者が増えれば、妊婦にも影響が出る。

 福岡大病院(福岡市)では第4波の際、妊娠26週の女性が搬送されてきた。女性は自宅療養中に具合が悪くなり、自ら119番。救急隊は九つの医療機関で受け入れを断られたという。

 入院中、女性は呼吸状態が悪く酸素マスクを付け、小まめにおなかの中の赤ちゃんの心拍数を確認。その後、呼吸症状も改善して無事に退院した。

 福岡都市圏では緊急時、かかりつけの産科医院が適切な総合病院に妊婦をつなげる仕組みがある。同大病院産科病棟医長の深川怜史さんは「感染し、体調が悪化したら、まずかかりつけ医に連絡してほしい」と助言する。

 副反応への懸念からワクチン接種に消極的な妊婦も少なくない。日本産科婦人科学会などは14日に「妊婦は時期を問わず接種することを勧める」とする新たな提言を発表した。深川さんは「家族も含めてワクチンを打った上で、徹底して『3密』や会食を避けるなど、一段上の対策をとることが大事だ」と話した。

 (斉藤幸奈、下崎千加)

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