若者の政治意識、コロナで高まる 生活に直結「自分ごと」に

 衆院議員の任期満了(10月21日)まで残り2カ月を切った。新型コロナウイルスの影響が実生活に及んだことで、政治の動きを「自分ごと」と捉える若者がいる。各種選挙で投票率が伸び悩む若年層。政治意識は変化してきているように映るが、投票行動にどの程度結びつくか-。

 「もともと政治への関心は薄かったけど、興味を持たざるを得なくなった」。熊本市で印刷会社を営む男性(27)は明かす。

 国内初の感染者が公表された昨年1月、家業を継いだ。緊急事態宣言が全国に拡大された昨春から経営は厳しくなった。従業員約20人の雇用は国が休業手当の一部を肩代わりする雇用調整助成金などで何とか維持するが、経済支援策はないか、新聞や政府のホームページに目を凝らす毎日だ。

 北九州市立大4年の男性(21)は昨年5月、アルバイト先の飲食店が閉店に追い込まれ、解雇を言い渡された。以来、ネットやテレビの政治ニュースに自然と目が行く。

 飲食店への営業時間短縮要請、医療提供体制、ワクチン接種…。政治は暮らしと密接に関わっていると感じ、顔と名前が分かる政治家も増えた。政治家のリーダーシップや資質を考えるようになり、「国民に我慢を求める政治家がルール違反の会食をするなんて」と割り切れない思いを抱く。前回衆院選は「長く続いているから」と何となく自民党に票を投じたが、次は各党の政策や候補者をちゃんと調べるつもりだ。

 若者マーケティング研究機関のSHIBUYA109 lab.(ラボ)(東京)が今年7月、18~24歳の400人に行った調査では、次期衆院選で投票意向を示した人が8割に上った。コロナ対策は、子育て支援や年金問題などを抑えて最も関心が高く、「生活への影響や情報の接触頻度の増加により、政治への興味が高まっているようだ」。

 一方で、政治不信が高まったという人も。公演が軒並み中止となった福岡県の20代男性劇団員は、政治家に頼もしさを感じた時期もあったが、「その場の議論ばかりで何も解決していない」と失望に変わった。佐賀市の女性会社員(24)は政府のコロナ対策に不満を感じつつ、野党の政権批判にも冷めた視線を送る。「政権交代で変に混乱するのも嫌」。福岡県大川市の男性会社員(25)は「票を入れたいところがない」と漏らす。 (川口安子、平山成美、豊福幸子)

投票行動は選択肢が鍵 今井亮佑・崇城大教授(政治学)の話

 大学で教えている実感から、コロナの感染拡大により政治に対する若い人たちの関心が高まっているのは間違いない。政治意識の向上には「動機」が重要だが、自分の生活と政治の動きの関連性が見えやすくなったことが要因だ。投票行動につながるかは与野党各党がどんなビジョンを打ち出せるか次第で、魅力的な選択肢がなければ投票率は低いままの可能性もある。

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