祖父から預かった関東大震災の惨状映す25枚の写真

 10万人以上が犠牲になった関東大震災から9月1日で98年。記者(39)の手元には、被災地の惨状を記録した25枚の写真がある。2年前に95歳で他界した祖父=福岡県うきは市出身=から預かったものだ。曽祖父が撮影し、生後半年で震災に遭った祖父に託していた。近く、震災資料を集める博物館に寄贈する。

 震災は1923(大正12)年に起きた。「その時、東京におってね、家がつぶれて、おじちゃまおぶって、兄につんのって(連れて)帰ってもらったとよ」。曽祖母の言葉をかすかに覚えているが、写真の存在は、遺品を整理していた伯父からの相談で知った。

 粗い白黒写真には目を背けたくなる凄惨(せいさん)な光景が写っていた。震災は正午前に発生、煮炊きの火による火災が多発した。炭化した遺体、煙にいぶされた生白い遺体。焼け野原に積まれた亡きがらの中から身内を捜す人の姿も。浅草公園の池には大勢が浮かんでいた。1枚を除いて裏には曽祖父の筆字による説明がある。

 保険会社に勤務した曽祖父は震災後しばらく東京に残り、曽祖母と祖父は福岡県吉井町(現うきは市)へ引き揚げた。曽祖父は生前こう語っていたという。「写真を撮ったが、たくさん亡くなっている写真だから人に見せるものじゃない」

 それでも、写真の背景を知ろうと専門家の協力を仰いだ。日本カメラ博物館(東京)の井口芳夫主任学芸員によると、記録絵はがきや複写した写真も含まれていた。「当時はアマチュア用カメラが普及し始めた時期。保険会社という職業柄、緊急事態を記録した可能性もある」と井口さん。

 近代史に詳しい九州歴史資料館(福岡県小郡市)の渡部邦昭学芸員は「写真は東京大空襲などの戦災で失われたものもあり、現存数は多くない」と話す。

 写真は木箱の中に大切に保管されていた。生後間もなかった祖父に震災の記憶はないが、戦時中に多くの戦友を見送った体験は、震災記録写真に刻まれた光景とも重なったかもしれない。

 (大矢和世)

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