知事会に新会長 コロナ対策に分権理念を

 全国知事会の新会長に平井伸治鳥取県知事が就任する。地方を代表する組織として、まずは新型コロナ禍対策が最重要課題となる。国と対等な立場で、是々非々の議論をしてほしい。

 平井氏は現会長の任期満了を受け、無投票で選出された。任期は3日から2年間だ。

 コロナ対策の多くは国が全体方針を決め、都道府県が実行する。現場責任者である知事は外出自粛要請、施設使用の制限、医療提供といった幅広い権限を持つ。国の方針や法律に不足があれば、是正を求めていくことが知事会に求められる。

 コロナ禍が広がった昨年来、知事会はオンライン会議を頻繁に開き、地域事情を踏まえ国への要望や提言を重ねた。その機動力と積極性は評価できる。

 ただし、当否が問われる提言もある。最近では人出を抑制する手段として、ロックダウン(都市封鎖)を例に強力な時限措置の検討を国に促した。その効果は海外の例からも不確かであり、経済や暮らしへの打撃が大きい。住民の理解がすぐに得られるとは思えない。

 国に要請せざるを得ない対策もあるが、知事の権限でできることは着実に進めたい。デルタ株による重症者が増え、入院病床の不足は大都市圏以外にも広がる。大型施設を活用した臨時の医療施設開設などは先行する県の取り組みが参考になろう。

 こうした「地方でできることは地方に」という言葉に象徴される地方分権の理念が、コロナ対策で薄れてはいないか。

 昨年2月、当時の安倍晋三首相が学校の一斉休校を唐突に要請し、学校や保護者は混乱した。都道府県や市町村立の学校を休校にする権限は首相にはなく、地方にある。にもかかわらず、知事をはじめ大半の首長、教育委員会は検討に時間をかけることなく唯々諾々と従った。

 国と地方の関係は2000年の分権改革で、上下・主従から対等・協力に変わった。それを忘れてはならない。第2次安倍政権以降、一昔前の中央集権に戻ったような政治手法が目立つのに、地方からの異論があまり聞こえてこないのは残念だ。

 分権改革の成果として創設された「国と地方の協議の場」は形骸化が指摘され、本年度は1度しか開かれていない。国政において、全国知事会を含む地方6団体の影響力が低下していることの表れと言えるだろう。

 00年代に国と地方の税財政制度見直しを国に迫った「闘う知事会」も、今や陳情団体に先祖返りしたとの批判がある。コロナ対策に限らず、分権改革の理念を再確認し、活動の礎とすべきだ。平井新会長のリーダーシップに期待したい。

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