18歳未満は週末1時間だけ…中国、オンラインゲーム規制の本当の狙い

 【北京・坂本信博】中国政府は、18歳未満の未成年者がオンラインゲームで遊べる時間を金土日と法定祝休日の夜8~9時のみに制限する通知を出した。9月1日から、オンラインゲームを提供する全企業に対応を義務付ける。社会問題化する子どものゲーム依存症対策に加え、当局によるIT大手への統制強化の一環という見方もあり、中国のゲーム大手の株価は急落。規制のない日本や米国、韓国など海外市場に活路を求める動きが加速しそうだ。

 通知は、メディアやゲーム産業を管轄する国家新聞出版署が8月30日に発表。企業が未成年者に制限を超えてオンラインゲームサービスを提供することは「いかなる形態においても許されない」とし、利用者の実名登録やログイン要件の管理の徹底を企業側に義務付ける。従来は祝休日3時間、平日1時間半までと定めていたが、規制を厳格化する。

 中国では、当局によるIT大手への統制が強まっている。8月初旬には国営通信、新華社系の新聞「経済参考報」がオンラインゲームは子どもの精神をむしばむ「アヘン」として、中国で大人気のゲーム「王者栄耀」を手掛けるIT大手、騰訊控股(テンセント)を名指しで批判。同社や、日本でも人気のゲーム「荒野行動」で知られる中国のIT企業、網易(ネットイース)の株価が急落した。

 日本や米国の先行事例に学んだ中国のゲーム産業は、ゲーム人口が6億6700万人にも上る国内の巨大市場で急成長してきた。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要もあり、業界団体「中国音像数字出版協会」によると、2020年の総売上高は前年比21%増の2786億8700万元(約4兆7380億円)。8割弱が急速に普及したスマートフォンゲーム関連だ。21年上半期も総売上高は1504億9300万元(約2兆5580億円)と前年同期を8%上回った。

 一方、中国国内では、ゲームのストーリー設定や暴力的な描写などを巡って当局の厳しい検閲があり、中国製スマホゲームを日本に投入するなど海外志向が高まっている。米調査会社センサータワーによると、日本のスマホ向けゲームの人気トップ100(21年4~6月期)には、荒野行動など29本の中国製ゲームがランクイン。中国のゲーム業界関係者は「国内での規制が強まる分、日本など海外市場で稼ぐ戦略がさらに重要になる」と話している。

 ただ、20年だけで約5万3千社が参入し、約1万8千社が倒産するなど競争が厳しい業界だけに、統制強化は成長の足かせとなりかねない。

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