コロナで膨張止まらぬ概算要求 初の110兆円台、衆院選控え歳出圧力も

 新型コロナウイルス禍で2年目となる2022年度予算の概算要求は初めて110兆円台を超え、4年連続で過去最大を更新した。コロナ対策で要求額を示さない「事項要求」が相次ぎ、成長分野の特別枠も復活した。衆院選をにらんで歳出圧力も高まる。財政が悪化する中、政策の「質」を置き去りにした規模ありきの予算編成が続きそうだ。

 政府は今回、コロナ対策について、昨年と同じように要求段階で金額を示さない事項要求を認めた。厚生労働省は、病床確保支援などコロナ対策の大半で要求額を未定とした。足元では「第5波」が猛威を振るっており、同省担当者は「感染状況次第で予算規模がどこまで膨らむのか分からない」と言葉少なに語った。

 内閣府の地方創生推進の経費など各省庁のコロナ対策費は事項要求が目立った。麻生太郎財務相は31日の記者会見でコロナ対策費が膨らむ懸念について問われ、苦々しく答えた。「コロナがどの程度になって収まるか予想は極めて難しい。今の段階では分からない」

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 今回の概算要求のもう一つの特徴は、政府が2年ぶりに設定した特別枠だ。既存の経費を10%削減すれば、脱炭素、デジタル化、地方活性化、子ども・子育ての4分野に、削減額の3倍の要求を認める。

 各省庁の要求には、既存事業を特別枠に入れて予算を確保する思惑が透ける。例えば、林野庁が特別枠に計上した森林整備事業は、21年度のコロナ枠に盛り込まれていた。事業内容は毎年ほぼ同じだが、今回は新たに「グリーン成長を実現」と事業説明書に書き、特別枠との関係を持たせた。

 こうした手法は霞が関の無駄の温床になっており、財務省は「大事なのは中身。不要なら当然削る」(幹部)との立場を崩さない。

 長引くコロナ禍で、業種間の「二極化」や生活の困窮が深刻化する中、問われるのはメリハリを重視した予算編成だ。20年度は3度の補正予算を経て歳出総額は175兆円に達したが、企業向け融資など30兆円超が執行されず、21年度に繰り越された。「カネを出せば政策の質が上がるわけではない。苦境の分野にどんな支援が必要か見極める」。財務省幹部は強調する。

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 歳出圧力は収まる気配がない。菅義偉首相は30日、自民党の二階俊博幹事長に追加経済対策の策定を指示。次期衆院選が迫り、経済対策の検討が本格化する。当初予算の歳出規模を抑えても、概算要求に計上された事業が補正予算に振り分けられる可能性がある。

 日本の財政は借金への依存が常態化し、国と地方の長期債務残高は21年度末に1212兆円に達する見通しだ。22年度から「団塊の世代」が75歳以上になり始め、社会保障費はさらに増大する。高齢化とコロナの「二重苦」が直面する財政は、悪化に拍車がかかる。

 「坂道を転がり落ちているのにブレーキもなく、コントロールができない」。一橋大の佐藤主光教授(財政学)は日本の財政を車に例える。特別枠やコロナ対策について「不要な予算を削り、真に必要な成長分野に投資を振り向ける」とし「財政の体力を高めなければ、コロナ後の別の危機にも対応できなくなる」と警鐘を鳴らす。 (一ノ宮史成)

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