言葉を持たない首相、退場

 菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を表明した。

 不出馬の理由は「新型コロナウイルス対策と総裁選の活動は両立できない。コロナ対策に専念したい」だという。この発言を私の「身もふたもない翻訳機」にかけたところ「あまりにも不人気で、出馬しても勝てそうにないので出ません」という訳が出た。国民の受け止めも同じだろう。

 菅政権の発足以降、私はこのコラムで何度も、菅氏の政治家としての問題点を指摘してきた。それは「言葉の軽視」だ。今回、菅氏が事実上の退陣に追い込まれた直接の原因は新型コロナ感染拡大を抑え込めなかったことだが、そこに至る経緯をたどれば、結局「国民に届く言葉を持たない」ことが命取りになったなあ、としみじみ思う。

   ◇    ◇

 菅氏の政権運営の基本は「人事で支配」であり、その裏面が「説得の軽視」だった。自分に異を唱える人物は左遷する-。こういう一種の恐怖支配は、自分の人事権の届く範囲なら一定程度有効だろう。

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