コロナ休園増えているのに…親の休業支援制度なぜ「後退」

 新型コロナウイルスの感染拡大で小中学校に短縮授業やオンライン授業が広がる中、働く保護者から「子どもが家にいるため仕事ができず、収入が減っている」との声が「あなたの特命取材班」に寄せられた。一斉休校措置を取った昨年は仕事を休んだ保護者への救済策があったが、今年は同様の制度がなく、不安の声が高まる。識者は「子どもの感染拡大は子育て世代への影響が大きい。支援策を拡充するべきだ」と話す。

 「学校の対応次第ではパートができなくなる。この先どうなるのか…」。小中高に通う3人の子を1人で育てながらコールセンターで働く女性(50)=福岡県=は不安を抑えられない。

 8月23日に小学校から「26日~9月3日は短縮授業」と連絡があった。下校時間が早まり、勤務シフトの変更を余儀なくされた。同じ事情の同僚も多く、職場は調整で混乱したという。

 最大の不安要因は、休んでも国の支援が十分にないことだ。女性の子どもが通う特別支援学校は8月、コロナ感染者が出たことから臨時休校になった。仕事を3日間休み、助成金の申請を相談すると、上司から「去年のような制度はない」との答えが返ってきた。

 申請しようとしたのは「小学校休業等対応助成金」。全国一斉休校を実施した昨年、子どもの世話が必要になった保護者が有給休暇を取れるよう事業主向けに創設された。1日1人当たり1万5千円を上限に助成し、正規、非正規にかかわらず何度でも利用できた。

 本年度は「両立支援等助成金(コロナ対応特例)」に形を変え、従業員1人につき一律5万円、1事業主10人までと縮小された。女性は「短縮授業や臨時休校が続けば仕事を休む日は増える。5万円では到底足りない」と訴える。

 なぜ、制度は縮小されたのか。厚生労働省は「昨年は、全国一斉休校で仕事を休まざるを得ない保護者の賃金を補填(ほてん)する意味合いがあった。今年は、コロナ対策の有給休暇制度を設けるよう事業主側に促すもので賃金補填の目的ではない」と、二つの助成金は性格が違うと説明。昨年度の支給実績は約595億円だが、本年度の予算額は育児休業支援など別名目も含めて約113億円にとどまる。

 女性の月収は10万円ほどで、働けない日が数日続くのは死活問題だという。「政府は子育て世代の実態を分かっていない」と憤る。

 コロナによる保育園の休園も相次ぐ。厚労省は「子どもの感染が拡大した1カ月ほど前から、助成金の拡充を求める要望が増えている」と明かす。昨年同様の助成金の復活については「現段階では不明」という。

 名城大の蓑輪明子准教授(女性労働論)は「子どもの感染拡大で、仕事を休まなければならない保護者はさらに増えるだろう。昨年の一斉休校時は経済活動も止まったため仕事を休みやすかったが、現在は休みづらい状況にある。国は休暇中の所得を補償する制度を拡充した上で、保護者が休むのは当然の権利だという指針を示すべきだ」と指摘する。 (森井徹、平峰麻由)

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