「かけず小僧」「黙浴」「己との対話」…サウナ部員に聞く“お作法”

サウナワールド ととのう人たち(2)

 空前のサウナブームといわれています。ここ数年で20~30代の男女に愛好家(サウナー)が増え、新たなカルチャーも続々と誕生。サウナに行ってみたい!という初心者の皆さんも列を作っていることでしょう。「サウナワールド」第2回は、各地のサウナを歩いてきた歴戦の猛者、西日本新聞meサウナ部員の布谷真基記者(38)が「ととのうための利用法」をご紹介します。聞き手は相本康一・西日本新聞me編集長(50)です。

 相本編集長 サウナはもちろん体験したことがありますが、常連客ばかりのイメージがあってハードルが高く感じます。まずは基本的な入り方やマナーを教えていただけますか。

 布谷meサウナ部員 はい。サウナに興味を持っていただいてありがとうございます。サウナは神聖なる公共の場。まず髪や体をしっかり洗って身を清めましょう。肌を清潔にすることで汗をかきやすくなる効果もあります。ただし、ビショビショにぬれたままサウナ室に入るのはNG。タオルで水気を拭き取ってから入りましょう。温度や湿度に左右されますが、ひとまず5~12分くらい入って体を温めたいところです。

サウナに入る前は、しっかり体を洗う。水分を拭き取るのも忘れずに(写真はイメージです)

 ベンチが階段状になっている場合、上になるほど高温になります。調子に合わせて場所を移動して、汗が肌を伝う感覚を楽しんでください。

 相本編集長 しゃくねつのサウナ室内で、みんな何をして過ごしているの? ただ座っていればいいのでしょうか。

 布谷meサウナ部員 基本的にはじっと座っていれば大丈夫です。サウナ室には12分で一周する「12分計」や砂時計が設置してあるので時間管理もしやすいです。体の部位によっては温まり方にムラができるので、体育座りをしたり、あぐらをかいたりして調節するのがおすすめ。

 室内では、周囲に汗を飛ばす、汗が染みこんだタオルを絞る-といった行為は厳に慎んでください。サウナーの風上にも置けません。そうそう、サウナ室内ではおしゃべりも控えましょうね。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、どのサウナでも黙って入るもくよくが定着しています。

「かけず小僧」はダメ絶対。コロナ禍にあっては談笑も控えたい

 相本編集長 なるほど、沐浴ならぬ黙浴ですか…。とても暑いですよね。黙って耐えられるでしょうか。羊を数えたりして気を紛らわせるのかな。皆さんは何を考えているのですか?

 布谷meサウナ部員 鋭い質問ですね。サウナーによってさまざまだと思います。私の場合、脇腹のあたりを汗が伝わってくるのをくすぐったいと感じつつ、あえて我慢してニヤリとしたり、「ここで熱いのを乗り越えれば爽快な水風呂が待っているぞ!」と自分自身に言い聞かせて粘ったりしています。そしてサウナ室内にある12分計の秒針を眺めて無心になる、といった具合です。

暑さを乗り越えた先に、爽快な水風呂が――(写真はイメージです)

 相本編集長 ちなみに、どうして普通の時計でなく、12分計なのでしょう。

 布谷meサウナ部員 諸説あるようですが、12分くらいを目安にサウナに入るのが適当と考えられているため、サウナ施設に広く普及したといわれています。熱さと向き合う中、普通の時計より針がよく進むので、心理的には救いになっているかもしれませんね。

「ととのうための」サウナの入り方。サウナ室→水風呂→休憩でワンセットとされる

 相本編集長 針の動きを見つめながら、来し方行く末に思いをはせ、人間の弱さを確認する。まるで修行のようです。

 布谷meサウナ部員 サウナーとして現場経験を重ね、余裕が出てくると人間観察をすることもありますよ。「あのおじさん、ジャージャー汗かいてんな」とか、「若人よ、半分寝ちゃってるけど大丈夫か」とか。黙浴が定着しているので余計に、己との対話になりますね。

 相本編集長 サウナ室を出た後はどのように行動すればいいの? すぐにでも生ビールが飲みたくなるような…。

(写真はイメージです)

 布谷meサウナ部員 却下。気持ちは分かりますが、サウナ室を出たら終わりではなく、水風呂、休憩までセットで完成するのです。煩悩に引きずられず、すぐに水風呂に向かってください。

 ここで注意を一つ。汗をかいたままの状態で水風呂に入るのはご法度。汗流しを省いた不届き者は「かけず小僧」として忌み嫌われます。周囲から冷ややかな目で見られ、変な汗が出ることでしょう。手おけや洗面器で水をすくい、頭や体の汗を流してからゆっくりと水風呂に身を沈めるのがマナー。水温は施設によってさまざまですが、初めから肩まで漬からなくてもOK。足まで、腰までと少しずつ慣らしていきましょう。

 相本編集長 正直に言うと、冷たい水に入るのが怖いです。時間をかけて漬かることができるのか、不安なのですが。

 布谷meサウナ部員 高血圧などの持病がなければ、火照った体を冷ますためにも思い切って肩まで沈めてみましょう。じっとしていると、少しずつ冷たさが中和されていく感覚を味わえるはず。これが、肌の表面の熱で冷たさを感じにくくなる「羽衣」といわれる現象です。羽衣はとても繊細。他の人が入ってきたり、自分が動いたりすると水風呂が波立ち、簡単にはがれます。慣れると、こうした温度変化も楽しめるようになります。

「羽衣」を味わいつつ、次の利用者への心遣いを忘れないこともサウナーの矜持

 相本編集長 はあ、世に言う羽衣現象ですか。レベルが高いような…。

 布谷meサウナ部員 私の場合、最初から体験できました。水風呂の冷たい刺激がスッと楽になる瞬間があるのです。そのヤマを越えると、しばらく漬かっていられます。

 相本編集長 水風呂から上がったらどうすればいいの? 体が冷え切ってしまい、震えてしまわないか心配です。生ビールもおいしくなくなりそうで…。

(写真はイメージです)

 布谷meサウナ部員 ビールは全てを終えた後、最後の楽しみに取っておいてくださいよ。もちろん、水風呂に長く入りすぎるのはいけません。水温にもよりますが、1~2分くらいで上がりましょう。タオルで体を拭いてから「寝そべり椅子」に体を横たえるか、椅子などに腰掛けて休憩を。サウナ-水風呂-休憩という一連の流れを貫徹することによって、サウナ用語として定着した「ととのう」ことができるといわれています。得られる感覚は人それぞれですが、日常生活では味わえない急激な温度変化が深いリラックスへといざなってくれるのです。

 相本編集長 その「ととのう」という感覚、興味があります。初心者でも、その境地に達するのでしょうか。心身を良いコンディションに持っていくための奥の手はあるの?

 布谷meサウナ部員 サウナ-水風呂-休憩の流れを3、4セット行うと、一般的にととのいやすくなるといわれます。休憩で体が平常時の状態に戻ったら、再びサウナ室に入りましょう。自分が使った寝そべり椅子には、次に使う人のために「かけ湯」をするとグッド。サウナーの間で「思いやりのバトン」などと表現されている大切なエチケットです。「立つ鳥跡を濁さず」の精神を大切にしたいですね。

優雅に飛び立つツクシガモのように…

 水分補給は、サウナー水風呂ー休憩のワンセットの前後に。発汗によって多くの水分が抜けますからね。念のために言うと、サウナ前やサウナ中のアルコール摂取は推奨されていません。過去には痛ましい悲劇も起きています。

 相本編集長 サウナに行くのは、やっぱり夜間が最適なのでしょうか。

 布谷meサウナ部員 施設の営業時間内ならいつでもいいでしょう。夜のイメージがあるかもしれませんが、朝からサウナに入る人も目立ち、「朝ウナ」という用語も生まれています。

 最近ではワーキングスペースを設置する施設が増えています。テレワークをしながら、合間にサウナに入るビジネスパーソンが一般的になりつつあります。今の時代状況に合った新しい働き方を、サウナが下支えしているわけです。サ活(サウナを楽しむ活動)の奥深さですね。

 サウナの道は人生と同じく、一本道ではありません。ぜひ、自分に合った時間帯や方法を探求してみてください。

(西日本新聞meサウナ部・布谷真基)

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