『散り椿』葉室麟の美学、悲運の一筋者が権力悪を切り裁く

フクオカ☆シネマペディア(54)

 江戸期、藩の重職の不正を訴えて藩を追われ、刺客たちに狙われ続ける侍が、亡妻の願いをかなえるために藩に戻り、再びお家騒動に巻き込まれていく。「散り椿」(2018年、木村大作監督)は、原作の著者で直木賞作家の葉室麟(福岡県出身)らしい、不遇をかこちつつ、正しさを一筋に貫く男の物語だ。

 主人公の瓜生新兵衛(岡田准一)は、追放後も連れ添ってくれた妻、篠(麻生久美子)から生前、ある願いを託された。共通の知人で一時、篠との結婚をうわさされた榊原采女(うねめ)を助けることだった。

 西島秀俊演じる采女は若い頃、剣術道場で新兵衛らと並び四天王と呼ばれた剣士。今は農民のために新田開発を唱え、亡き先君の跡継ぎで近くお国入りする若い藩主の側用人を務める運びだ。先君の下で権勢を振るってきた城代家老、石田玄蕃(奥田瑛二)は藩政改革派の采女を煙たがり、対立する。

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