「われこそが正義」考 小出浩樹

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、かつて2度逮捕された。慶熙(キョンヒ)大(ソウル)に在学中、民主化デモを主導した。警察の催涙弾を顔面に受け、失神したという逸話もある。

 自伝「運命」にこう書いている。<ソウル拘置所の生活はまあまあだった。(略)政治犯は黄色い名札を胸に収監された>

 名札の黄色は「要視察」を意味したという。当時の朴正熙(パクチョンヒ)・軍事独裁政権を批判する者は弾圧された。立ち向かう学生は英雄に見え、日本からは支援の声が上がった。

 立場は人を変えるとでもいうのだろうか。

 文在寅政権による「メディア仲裁法」の改正案が「言論の自由を奪う」と物議を醸している。虚偽ニュースから国民を守るとして、報道機関に被害額の最大5倍の賠償や訂正報道を義務付ける内容だ。

 報道が虚偽かどうかを判定するのは政権が選ぶ仲裁委員らである。

 国連では、韓国も加入する国際規約が保障した政府への意思表示の権利に反する、との報告書が出された。醜聞と失策が続く文政権への批判封じと非難は強まり、法案採決は予定より1カ月遅れの今月下旬となった。

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