共産との一本化、原発・消費税巡る公約…立民結党1年・枝野代表単独インタビュー詳報

東京ウオッチ

 立憲民主党の枝野幸男代表が14日、西日本新聞の単独インタビューに応じ、結党1年の党運営、衆院選の目標と九州の選挙区の位置付けなどについて語った。主な一問一答を記録する。(聞き手・郷達也)

結党1年

─所属国会議員150人規模の野党第1党となった2020年9月の新立憲民主党の結党から1年となります。この1年の党運営を振り返ってどうですか。

 「はい、あのー、やはり、長年にわたって野党が乱立をしてですね、十分に期待に応えられなかった。それが久々に100人を超える最大野党を皆さんと一緒につくることができた。そして、それぞれ持ち味を生かして、この1年間頑張ってきていただいたおかげで、例えば4月の衆参3選挙や8月の横浜市長選で結果(勝利)を出した。結局、野党がしっかりと力を発揮したから、菅義偉内閣のコロナ対策などの問題が浮き彫りになって、事実上の退陣に追い込むことができたのではないかというふうに思っています」

 「そうした意味では、一定の役割を果たせましたが、ただやはり、新型コロナウイルス対策でこの1年半以上、ずっと訴え続けてきたことを、政府に実施させることはできなかった。それは、やっぱりもっともっとわれわれが力を付けていくことが、命と暮らしを守るために必要だというふうに思っています」

支持率低迷

―コロナ対応など政権を追及してきましたが、支持率は低迷し、国民の政権批判の受け皿とはなり得ていません。

 「まあ、あの、受け皿になり得ているかということについてはですね、まあ、あの、正直申し上げて、今、わが党の支持率がですね、地域差が非常に大きすぎる。同じ地域でもわが党の現職や、長く活動している総支部長がいる所と、空白の所はだいぶ違っている。その中で、衆院選も近いので小選挙区単位のかなり緻密な調査を繰り返していますが、きちっと活動をしている所では、かなりのご支持をいただけている。これをどう、面的に展開していくことができるのかということが問われていると思っています」

安倍、菅政権の評価

―コロナ対策など、安倍晋三前政権、菅政権をどう評価していますか。

 「われわれは特にコロナについては、水際対策の徹底、検査の拡大、そして補償はセットと、この3点セットをずっと言い続けてきた。にもかかわらず、結局これをやってこなかったことが、リバウンド(感染再拡大)の繰り返しと、長期にわたる経済への悪影響、そして多くの皆さんの命が失われてきたと思っています。それはもう菅内閣、あるいはこの安倍内閣の末期の1年半だけではなくてですね、やっぱり自己責任を強調してですね、政府による命や暮らしを支えるという機能を軽視してきた、この間の自民党政治の表れだと思っています」

―著書「枝野ビジョン」で示しているように、「支え合う社会」ができていないということですか。

 「やはり、さらにさかのぼると、中曽根内閣のころは一つのそのいわゆる改革というのは一定の合理性があったかもしれませんが、少なくとも郵政民営化あたりからはですね、明らかに行き過ぎて、政治の本来の役割である、いざというときに命と暮らしを支えるという機能がボロボロにされてきた。やっぱり、これを立て直さないといけないと。政治は、自分の力でどうにもならないときに、それを支えるためにやると。その原点に立ち返らなきゃならないというふうに思っています」

衆院選目標

―次期衆院選についてです。最終的な擁立目標と、目標の勝敗ラインをどう考えますか。

 「はい。比例代表単独の候補も合わせれば、総定数(465)の過半数の候補者を何とか立てられるんじゃないかと。これは最大野党としての最低限の目標だと思ってきました。(旧立民発足の)4年前は1人からのスタートだったので、何とかそこまで持っていけそうだということは喜んでいます。目標はですね、私は幹事長時代からずっと申し上げていますが、みんな人生を懸けて選挙に出ているわけですから、何人か落ちていいみたいな目標を言うことはできません。全員当選を目指します」

最大野党の党首の覚悟

―何かの党会合のときに、あなたは、こんなしんどい最大野党の党首の仕事を引き受けるのには覚悟がいる、みたいな話をしていた。非常に印象的でしたが。

 「最大野党の党首というのは、国民の皆さんの注目、ご期待も一定、大きい。そうでないと、政治に緊張感が生まれませんから。それから選択肢もできません。当然のことだと思います」

 「一方でですね、例えば、コロナは典型ですけど、これをやってくれれば国民の命を救えるのに、ということがあってもですね、野党ですから、すぐには実行できないという、常にジレンマを抱えて仕事をしなければならない。そういう意味で、正直、最大野党の幹事長もやって、これもしんどい仕事だなと思いましたが、代表、党首になってみると、もっとしんどいなと。ただやはり、その仕事を乗り越えるからこそですね、政権を任せてみようというような信頼とか期待につながるんじゃないかなというふうに思っています。あえて申し上げれば、自民党の中でですね、政権を回す中枢の仕事をされてない方よりは、ずっとさまざまな荒波にもまれて鍛えていただいてるというふうに思っています」

衆院選の争点

―衆院選で国民に最も訴えることは何でしょうか。どういう争点設定をしたいですか。また、この衆院選を政権交代の何合目と位置付けていますか。

 「争点は、いずれにしろやっぱりこのコロナということに、有権者の皆さんから見てもならざるを得ないというふうに思っています。コロナ危機から一日も早く脱却し、その中で命、暮らし、経済をどう守るのか。それが一番訴えたいことだし、われわれはこのことを1年半にわたってですね、もう端的に申し上げて、われわれがずっと言った通りだという結果になってきてますので、そのことを、自信を持って訴えていくということだろうというふうに思っています」

 「小選挙区制度を軸とした衆議院選挙の選挙制度を導入した以上はですね、毎回、総選挙で政権を国民の皆さんに選択をしていただくという構造をつくることが、特に最大野党の大きな責任だと思っています。端的に申し上げると2014年、2017年とですね、そういう構造をつくれなかったことが問題なのであって、そもそもが政権を競い合うことを前提にしている制度だというふうに思っています」

―与野党対決の構図が、次期衆院選はできつつあると?

 「これは恐らくですね、(旧民主党が政権獲得した)2009年衆院選以来の選択をしていただけるという選挙になったと思っています」

―第三極政党の存在も今のところ、目立っていません。

 「比例がくっついている制度ですし、必ずしも二大政党がいいとは、私は思っていません、実は。だけど少なくとも主要政党とその他の政党が、一定の連携の中で政権を競い合うという、そういう構造でないと、政権を二者択一していただくという構造でなければ、この選挙制度で民主主義は成り立ちません。その構造は本当に12年ぶりにつくれたと思っています」

―二大政党制が必ずしも良いとは言えないということは、つまり幅広い…。

 「やっぱり、多様な国民の民意があるわけですから、それを無理やり二つにしようとすれば、それは内部に矛盾を抱えることがある。党は違うけれども、しかし、政権を競い合う構造をつくるためにできる範囲で連携すると。私はそれでいいと思っています。ただし、やはり、軸となる政党にそれなりの規模感がないと、そういう構造はつくれないと。最大野党にはその責任があると思っています」

九州は『面』で戦える状況

―九州では、社民党から合流した議員がいたり、立民の鹿児島県連も設立されたりした。九州の位置付けと現状の情勢分析、クリアすべき課題を教えてください。

 「正直言って、(旧立民発足の)4年前は大変厳しい状況だったが、原口一博さん(佐賀1区)、大串博志さん(佐賀2区)はじめですね、当時、無所属や希望の党の皆さんも早い段階から一緒になっていただき、また九州でやっぱり大きな力を持っている社民党の多くの皆さんも加わっていただきですね、国民民主党さんも合わせればですね、かなり空白区のない状況、つまり面で戦える状況が4年間でつくれたというふうに思っています。ただやはり、候補者決定のタイミングとかいろんな事情もあって、地域ごとに(支持の)強弱の濃淡がちょっと大きいと思っていますので、何とか、弱い所を仕上げながら、強い所がリードをきちっとして勝ち上がって、比例も含めて多くの仲間を当選させたいと思っています」

―具体的に、弱い所とはどの辺ですか。

 「それは、まあまあ。一般的に言うと、やはりあの候補者の擁立が遅れた所。あるいは新人、全くの新人。新人でも例えば宮崎1区のように、県議を長く務められ地盤のある候補者であるというような所と、全くの新人の所があります。候補者として決まったタイミングと、その方の活動歴や自治体議員の数とか、やっぱりそういうところで濃淡がある。だから厳しい所で一気に小選挙区で勝つというのはしんどいですので、強い所を伸ばしながら、ただ弱い所でも潜在的支持層はあると。全国的な状況を見ても。従って、しっかりとその声に応える責任を果たしていかなきゃいけないと思っています」

共産との一本化

―共産党と、全国の約70小選挙区で競合しています。相手のあることですが、候補者調整はどう進めていきますか。

 「私は従来、まさに競り合う全国で50から100ぐらいの選挙区は一騎打ち構造にしたいという言い方をしていました。もう既に全国で200ぐらいの選挙区は、一騎打ち構想が出来上がっている。数の規模から言えば、目標を大幅にクリアしているという状況です。ただもちろん、お互いの党の様々な事情の中で出来上がっていますので、ここは一本化すれば競り勝てるのに、というような所が残っているのも確かですので、そこは今後ですね、どういうことが可能なのか、最後まで努力をしていきたいと思います」

 「相手のあることですので、こちらの希望ばかりを言ったのでは、まとまるものもまとまりません。最終的にどういう形になるか、いずれにしろ、どこかでその姿をお示しさせていただくことになる」

―衆院選公示までには。

 「はい」

―2009年衆院選も、一騎打ちの構図は200ぐらいあったのですか。

 「えっと、あのときはですね、少なくとも私のようにあのとき党の幹部でない人間から見ると、共産党さんが一方的に、ただ降ろしていただいた、ということですので、ちょっと数がどうなってるか分からない。あのときは政党間での何か動きは、全くありませんでした」

政権公約

―「原発ゼロ」や「消費税減税」については、政権公約に盛り込みますか。

 「われわれは、政権政策という言い方になりますが、表現はともかく全くその通りの趣旨のことを、もう準備している」

―支持母体の連合との調整は大丈夫ですか。

 「あの、特段、問題ないと思います」

―政権公約の文言についてはどうですか。

 「表現は、どういう表現をするのかということは、誤解を招かないような、しかし、ちゃんと伝わるような、どういう訴え方をするのかということについては、しっかりと準備をしています。連合さんも、原発はなくすという、連合としての方針ですから、全くズレはありません」

―例えば、原発のない社会とか、どういう表現にするのですか。

 「そこは、どういう伝え方が一番伝えやすいのか、連合さんとの関係ということよりも、有権者の皆さんにどういう言い方をすれば伝わるのかと。例えば10年前と違って今は脱炭素と、温暖化対策というのが大きなテーマですので、こうしたこととパッケージで進めていくというようなことだろうと思っています」

政権枠組み

―政権を獲得した場合の枠組みについてです。共産党と連立政権を組むという考えはありますか。

 「それは共産党さんの方も求めておられないとおっしゃっていますし、われわれとしてもやはり、天皇制や日米安保をはじめとして、やはり連立を組めば、なかなか政権は回らないかなというふうに思っています。違いは違いとして、共通政策、まさにこの間、まとめた共通政策を実行するためにですね、私どもは政権をつくって共産党さんは違う立場から。でも共通政策については協力すると、こういうことです」

大風呂敷は広げない

―別の角度ですけれども、09年の政権獲得時に財源確保の問題などでいろいろ失敗したかと思いますが、国民の中にもあのときの失敗は記憶に根深いのではないでしょうか。その辺をなかなか払拭(ふっしょく)できないとも思っているんですけれども。

 「一方でですね、『枝野、歯切れ悪い』とかって怒られているんですが、逆に言うと、あのときの経験があるので、私は一切、大風呂敷は広げないと。従ってですね、われわれがやろうとしてることをやっていく方向、それから短期ですぐにやらなきゃならないことなどを示しますけども、それは財源を確保しながら段階的に進めていくということなので、その財源の当てもなくですね、何年以内にこれをやります、というようなことを無責任には全く言っていませんし、今後もその基本姿勢は貫こうと思っています。それで、歯切れが悪いと言われても、いや、だから、ちゃんと反省、教訓を生かしてるんですと、堂々と申し上げたいと思います。逆に自民党の政策でそういったことをちゃんと示しているのを見たことがありません」

『枝野立て』から4年

―4年前、「枝野立て」の民意を背に旧立民を立ち上げましたが、振り返ってどうですか。

 「まあ、正直言ってですね、あの選挙(17年衆院選)で最大野党になるなんていうのは、ほとんど、立ち上げのときは全く考えていませんでしたので。まあ、あの、図らずも、というのは、こういうときに使うんだと思いますが、『図らずも最大野党』という結果を与えていただいた。正直言って、最大野党には、公器、公の器としての役割、責任が大きいので、その公器としての責任を果たすことにですね、正直苦労をしてまいりました。ただ最初の方で申し上げた通り、きちっと政権選択の選挙という形をですね、多くの皆さんにご理解いただいてつくることができてですね、本当にこの4年間、短期間でよくここまでできたなと思っています。その流れを選挙にもつなげていきたいと思っています」

発信強化

―今、絶えずメディアにも露出して、発信力を強化していますが、もともとご自身は人前に出るのはどうなんですか。

 「いや、全然。あの、すいません、僕、『政治は時間の関数』といつも申し上げている通りですね、発信をたくさんすべきとき、した方がいいときと、そうでないときと、やっぱりメリハリが。もちろん、お尋ねには答えなきゃならないという意味でですね、説明しない自民党は駄目だと思いますけれども、こちらからの積極的な発信というのは、それをたくさんすることが必要で効果のあるときと、そのことが求められていないときがあると思っています」

 「申し訳ないけど、メディアの皆さんも選挙の時のようなケースでなければですね、なかなか野党の政策をですね、紙面を取っていただけないという現実はあるわけです。そういうときは、そのメディアを通じてでなくですね、それこそ草の根にどう伝えていくのかということを重視してきました。ただもう総選挙目前ということでですね、メディアの皆さんもですね、(与党と)対等に近い形で扱っていただける状況になったし、普段政治に関心のない皆さんも、選挙、近いんだな、ということの中で関心を持っていただける状況になってきたので、こういうタイミングでこそ、きちっと今まで草の根で伝えていたことを、メディアを通じて発信していくと。というのは、これ、戦略的にずっと考えながらやってきたことです」

―何も、昨日きょう、始まったということではないと。

 「違います。ずっと戦略的に。なので、弾込め(政権公約打ち出しなど)もずっとしてきたわけです。弾込めしてないと、こんだけ、連日発信できません。はい」

弾込め

―その弾込めが、菅首相が総裁選に出馬しないということになり、政局が流動化して、シナリオが変わったところがあるのではないですか。

 「えっとねー、狂ったのはねー、実は8月にやろうと思ってたんですよ。8月から。ただやっぱり、コロナ感染爆発の状況で、ちょっとコロナ以外のことを発信する局面じゃなかったので、むしろ遅らせたんですよ」

―今月打ち出した政権政策の第1弾、第2弾を、8月にはしたかったということですか。

 「えっと、順番は、それこそ臨機応変です。はい。弾自体はたくさんある。その順番は最終段階で決めていってますけど。今後の段取りを決めているわけじゃない」

奇をてらわない

―何かその、党の支持率低迷の局面を打開するような弾も込めていたりはしないのですか。

 「あ、それはありません。奇をてらうことは一切しません、とずっと申し上げてます。奇をてらうようなことをすると、それこそ09年と同じ失敗をするんではないか、というふうに国民の不信を招くと。奇をてらわないことが、あのときと違うわれわれの政権担当能力を示すことだというふうに思っています」

―大風呂敷を広げないと。

 「大風呂敷を広げない」

―そこが一番の反省として、土台になるということですか。

 「そうですし、僕は今、有権者の皆さんは広い意味でも安定と安心を求めてると思います。当たり前の政治を当たり前にやってくれということを、多くの、特に無党派の有権者の皆さんは潜在的に期待していると思っています」

―それは、先日(11日)の西武池袋線練馬駅での街頭演説でも伝わりましたか。

 「はい」

―ありがとうございました。

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