北朝鮮のミサイル 挑発を自制し対話に臨め

 北朝鮮は今週、新型ミサイルの発射成功を続けて発表した。東アジアの安全を脅かすばかりの愚行であり、自国の窮状の打開には決してつながらないと認識すべきだ。

 15日に国連安全保障理事会の決議違反となる弾道ミサイル2発を日本海に発射した。日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定される。ミサイルは下降した後に再び上昇する変則的な軌道を描いており、より迎撃が難しいものだ。

 その2日前には国営メディアが新型の長距離巡航ミサイルの試射を伝えた。1500キロ飛行し標的に命中したという。事実であれば、日本列島をほぼ射程に収めることになる。巡航ミサイルは低い高度で飛ぶため、レーダーで捕捉しにくく迎撃も難しい。新たな脅威になり得る。

 1月の朝鮮労働党大会でミサイル技術の向上を含む軍事力強化が打ち出されていた。今回のミサイル発射はその方針に沿ったものであり、閉塞(へいそく)状況から抜け出すため米国や周辺国の譲歩を引き出す狙いもあろう。

 北朝鮮は昨年来、新型コロナ感染拡大への警戒から長期間、国境を封鎖し、経済的困窮は深刻だ。大水害も重なり食料事情は一段と厳しくなっている。

 本来なら、新兵器開発に巨費を投じる余裕などないはずだ。国民の生活向上のために建設的な対話に臨み、経済制裁の緩和を目指すべきである。

 北朝鮮政策を担当する日米韓の高官は14日、対話と制裁を通じて北朝鮮に非核化を求める方針の堅持で一致した。これに前後して中国の王毅外相が訪韓し鄭義溶(チョンウィヨン)外相と北朝鮮のミサイルについても協議している。

 日米韓の北朝鮮対処に実効性を持たせるには、最大の後ろ盾である中国との連携が欠かせない。対立が激化する米国と中国も朝鮮半島の非核化は共通の利益であり、協力できるはずだ。北朝鮮に挑発の自制と対話を促す関係国の結束を求めたい。

 北朝鮮とともに見過ごせないのが韓国の動向だ。15日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験に踏み切った。文在寅(ムンジェイン)大統領は「北朝鮮の挑発」への抑止力になると言及した。

 北朝鮮の金与正(キムヨジョン)党副部長は自国の行動を「正常で自衛的な活動」と主張し、文氏の発言に反発を強めている。

 韓国のミサイル開発は従来、米国との取り決めで射程800キロ以内に制限されていた。今年5月の米韓首脳会談で制限が撤廃され、韓国は平壌のみならず北京も射程に収めるミサイル保有が可能になった。南北朝鮮が抑止力強化を名目にミサイル開発を競い、地域の緊張を高める悪循環に陥ってはならない。

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