警報器も遮断機もなく事故後絶たず…第4種踏切の廃止を阻む「壁」

 「第4種踏切」と呼ばれ、警報器も遮断機もない危険な踏切がなくならない。7月には小郡市山隈の甘木鉄道の第4種踏切で列車と軽乗用車がぶつかり、車の運転者が死亡した。全国的に衝突事故が後を絶たず、国は保安機材の整備や踏切自体の廃止を促す。しかし、営業距離が長いJRの地方線や、小規模の鉄道会社に多く存在するため、費用負担や住民理解が問題解消の「壁」となっている。 (内田完爾)

 小郡署によると、事故は7月12日午後7時すぎに「南土取踏切」で起きた。車を運転していた男性(60)は列車に気づかず踏切に進入したとみられ、ブレーキ跡は確認できなかったという。国の運輸安全委員会が事故原因を調査中だ。

 南土取踏切は田園地帯にある。踏切をまたぐ道路の幅は約2・5メートル。注意を促す警標がポツンと立つ。甘鉄によると、1日の通過車両は数台。市によると、その多くは地元住民が耕作地に向かう際の利用で、遮断機設置などの要望が寄せられたことはなかった。

 一方で、夜間は真っ暗になるため踏切の存在が分かりづらく、市や甘鉄は発光器を設置するなどの対策を取っていた。死亡した男性は佐賀県基山町在住で、道に迷った可能性もあるという。

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 2021年の交通安全白書によると、全国に第4種踏切は2603カ所(踏切全体の7・9%)ある。踏切100カ所当たりの事故件数を比べると、警報機と遮断機を備えた第1種の0・51件に対し、第4種は0・77件と多い。

 第4種踏切での死亡事故は、調査開始の14年度から21年7月までに44件発生し、計47人が亡くなった。運輸安全委も「死傷リスクが高い」と注視する。

 こうした状況を受け、国は保安機材の整備や踏切そのものの廃止を推進。02年から1838カ所減ったものの、近年は減少ペースが落ちたという。国土交通省担当者は「鉄道事業者の費用負担が大きく、地元の理解を得られないなどの事情もあるのでは」と語る。

 実際、JR九州は第4種踏切を過去10年間で41カ所廃止したが、まだ222カ所残る。同社は保安設備を新たに取り付ける場合、自治体にも費用分担を求めており、「毎年要請しても折り合いが付かない踏切もある」と説明する。

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 沿線自治体などが出資する第三セクターの甘鉄にとっても事情は同じ。財務状況が芳しくなく、数千万円かかるとされる保安機材に投資する余力はない。

 甘鉄の営業区間は朝倉市から基山町までの13・7キロ。踏切は計36カ所あり、第4種は2カ所しかない。安全対策のための国の補助制度も使えるが、同社は「機材の維持コストも必要。小規模な鉄道業者には負担が大きすぎる」とこぼす。

 踏切が廃止されれば、住民の利便性も悪くなる。「鉄道事業者の事情だけで現状変更はできない」と甘鉄。小郡市は「運輸安全委の報告を待って必要な対策を講じたい」としている。

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