高齢者の運転 何歳までハンドル握るか

 あすは敬老の日。家族や友人に高齢のドライバーはいないだろうか。もし話をする機会があれば、話題の一つに車の運転も加えてほしい。

 ハンドルは何歳まで握るべきか。自分はどうするのか。家族らに自分の運転はどう見えているか-。当事者に考えてもらう良いきっかけになるだろう。

 高齢ドライバーが当事者の悲惨な事故が後を絶たない。

 近年で印象深いものに東京・池袋で一昨年、通行中の母親と女児がはねられ死亡した事故がある。東京地裁は先日、男性被告(90)に禁錮5年の実刑判決を言い渡し、確定した。事故の原因はアクセルとブレーキの踏み間違いで、時速約96キロが出ていたと認定した。

 一昨年は福岡市早良区でも、当時81歳の男性が運転する車が暴走し、同乗する妻とともに死亡したほか8人が負傷した。

 多くの高齢ドライバーの事故には共通の事情もある。そろそろ運転免許を自主返納すべきかどうか、本人も迷っていたことがうかがえる点だ。

 ただ本人には無事故・無違反を続けてきた自信や運転による社会参加への思いもあり、家族が返納を促しても聞き入れず、事故につながるケースもある。

 現在75歳以上の免許保有者は580万人余で、10年ほどで倍増した。マイカーが普及した1960年代を中心に免許を取得した世代が高齢化している。

 加齢により個人差はあっても視力や反射神経などは衰える。免許を持つ人が死亡事故を起こす割合は75歳以上は10万人当たり年間5・6件で75歳未満の2・7件を上回る。実際、免許を自主返納する人は増えており、その半数を75歳以上が占める。

 この流れは大切にしたい。

 けれど高齢者に「運転をするな」というだけでは説得力に乏しい面もある。特に地方は、車なしでは買い物や通院など日常生活に支障がある人もいる。地域周回バス網の整備に加え、電車やタクシーの料金補助といった制度も充実させたい。

 高齢ドライバー問題との絡みでも、注目が集まっているのが自動運転機能を持つ車だ。実用化の現状は、歩行者を認知して自動停車するといった段階だ。完全自動運転(レベル5)実現までの中間に当たる。

 そうした機能を有するとされる巡回バスが、東京パラリンピック選手村で視覚障害のある選手と接触事故を起こした。開発先進地の米国でも事故が続く。大きな可能性を感じさせる技術だが、過度の期待は禁物だ。

 当面は自動ではなく運転サポート(支援)車と認識するのが現実的だ。安全はなおハンドルを握る人に頼る面が大きい。

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