「若手の老人が集まらない」超高齢化社会で老人クラブが激減するワケ

 超高齢社会なのに、生きがいや健康づくりを目的に地域で活動する「老人クラブ」は細っている。“発祥”とされる福岡市の会員数はピーク時から半数近く減り、全国でも同傾向だ。働く高齢者が増えているのが背景にある。新型コロナウイルスの影響でさらに縮小している一方で、地域防災や孤立を防ぐために欠かせないと熱心な地域もある。20日の「敬老の日」を前に、現状と課題を探った。

年々難しくなるスカウト、解散の話も

 「クラブをなくすわけにいかないが、どうしていいか…」。福岡市内のあるクラブの80代会長は嘆く。

 コロナ禍の2020年度から集まりは皆無。活動に応じて支給される市の補助金は返し、本年度は解散の話も出た。会員名簿の約20人は名前を借りているだけ。「人付き合いが面倒なのか、敬遠されてしまう」。会長になって15年、スカウトは年々難しくなる。

 日本最古の老人クラブは、1893年に設立された福岡市の「博多高砂会」とされる。厚生労働省によると、戦後全国に広がったものの、2019年度の会員数はピークの1997年度から43・7%減の約499万人になった。クラブ数も10年前から2割減。全国老人クラブ連合会(東京)の14年度調査では、会員の年齢は70歳未満が約15%と高齢化しており、正立斉事務局長は「比較的若くてリーダーとなる人がおらず、運営が難しい」。

 福岡市でも97年度の約6万3千人から19年度は約3万4千人に激減。博多区老人クラブ連合会事務局の隈本秀勝さん(67)は「60代後半まで働く人が増え、日中に参加する人が減っている」と話す。

「現代のニーズに合わなくなっている」

 同区東光の古橋良夫さん(75)は4年前、老人クラブ「東光なかよしクラブ」(46人)を発足させた。ダーツや昼食会、清掃ボランティアなど多様なイベントを企画し、遠ざかる人には会報を届け関係をつなぐ。

 今年2月、夫婦で参加していた70代男性が入院した際には、妻はクラブで夫の病状などを相談して過ごした。ほっとした表情で帰る妻の姿が印象的だったという。地域の保育園の避難訓練に協力して防災の一翼を担う面もあり「クラブがあるから近所で助け合うことができる」。古橋さんはこう力を込める。

 市は「健康維持や防災の観点で重要」とクラブの意義を強調する。7区役所に老人クラブ連合会事務局員を常駐させ、相談に応じている。

 熊本県芦北町のクラブ連合会は、会員が戸別訪問して勧誘する。新会員を増やしたクラブには、10人以上で1万円、5人以上で5千円の報奨金を支給。16年までの5年間で、会員は266人増えた。内山伸男事務局長は「仲間が増え、活動も充実して地域の活性化につながった」と自負する。

 高知県立大の田中きよむ教授(地域福祉論)は「価値観が多様化し『自分はまだ若い』という人も多い。婦人会も含め伝統的な組織は現代のニーズに合わなくなっている。高齢者が積み重ねた経験と技術を生かして、防災や文化振興などで地域に貢献できる組織に転換するべきだ」と投げ掛けている。

 (竹中謙輔、鬼塚淳乃介)

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