敬老の日 コロナ下の孤立を防ごう

 今年こそは子どもや孫と過ごしたい。そんな願いもむなしい「敬老の日」になった人も少なくないのではないか。何ともうらめしいのは収束が見通せない新型コロナ禍である。

 日本は人生100年時代に入ったと言われて久しい。平均寿命も2020年は女性が87・74歳、男性が81・64歳と延び続けている。65歳以上の割合を示す高齢化率は3割に迫る。

 世界に例のない超高齢社会には不安も先立つが、経験豊かな人が大勢いることは懐の深い社会づくりの力になるはずだ。まずは長寿社会を喜びたい。そして、課題に向き合いたい。

 コロナ禍は高齢者の暮らしを直撃した。900万人を超える働く高齢者の多くは非正規雇用で、仕事を失ったり収入が減ったりした。仕事だけでなく、感染防止対策で趣味の活動などの外出機会も減ったままだ。

 家の中にこもる時間が長くなると、フレイルと呼ばれる虚弱状態に陥りやすい。栄養と運動の不足で筋力や体力が落ちる。人と会わなければ気がふさぎ、話さないので滑舌や嚥下(えんげ)機能も損なう。刺激の減少により認知機能の低下も招きかねない。

 孤立を防ぐことが大切だ。

 東京都健康長寿医療センターは、別居の家族や知人とのコミュニケーションが週に1回もない状態を「社会的孤立」と定義し、実態を調べた。その結果、コロナ禍で全体的に増え、特に高齢男性の増加が目立ち、3人に1人に上ったという。

 もちろん孤独を好む人もいよう。だが、孤立して暮らしや精神状態が追い詰められている人々を見過ごしにはできない。

 生活に困窮した。誰かと話したい。助けを求めたい-。そんな人々に支援の手がすぐ届く社会でありたい。孤立している人ほど「大丈夫」と答えてしまう傾向がある。自治体には、本人が声を上げるのを待たず、独りで悩みや苦しみを抱える高齢者を積極的に見つけ出して支援する姿勢が求められる。

 政府はワクチン接種が進んだ段階での行動制限の緩和策を公表した。自治体は感染状況に応じて、休止している公民館の健康教室といった高齢者が集える場の再開を探ってほしい。対面が難しければ、電話やメール、手紙を利用する手もある。「見守り」に知恵を絞りたい。

 福岡県古賀市は昨秋から、子どもたちがメッセージを手書きしたカードを高齢者に渡している。コロナ禍で対面の世代間交流ができなくなり、職員が発案したという。この話を聞いた福岡工業大では学生ボランティアが1200枚を手書きした。

 近所の声掛けでもいい。私たちも、その輪を広げていこう。

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