コロナと地価 勝ち組福岡も油断できぬ

 ワクチン接種の広がりや緊急事態宣言延長もあり、新型コロナの感染拡大に歯止めがかかりつつあるように見える。だが社会がこのままコロナ前に戻るとは限らない。テレワークといった新たな生活スタイルや世界的な金融緩和の動向が、経済の土台である地価にどんな影響を及ぼすか。注視せねばならない。

 国土交通省が発表した今年7月1日時点の基準地価は、全国平均で商業地が2年連続で下落するなど、コロナ禍の影響が引き続き表れた。移動制限や飲食店の営業自粛が長引き、土地の収益性の低下が主因である。

 その中で、福岡県の地価上昇が目立つ。商業地の上昇率2・7%は都道府県別でトップ、住宅地の1・5%は沖縄県(1・6%)に次ぐ高さだった。まさに例外的な勝ち組と言える。

 けん引するのは福岡市だ。商業地の上昇率は県庁所在地でトップ、住宅地は札幌市に続く2位だった。地価が堅調な札幌、仙台、広島、福岡の地方4市を見渡しても元気さが際立つ。

 人口の増加を背景に中心部の天神地区や博多駅周辺で再開発プロジェクトが進み、オフィスビルや賃貸マンションの需要が堅調だという。

 それでも懸念材料は少なくない。コロナ禍でテナント集めに苦労する再開発事業もあるようだ。訪日外国人客が激減し、アジアに近い地の利を生かした外資系企業誘致にも逆風が強い。

 東京や大阪ではテレワークの拡大などで企業がオフィス面積を削減する動きもあり、ビジネス拠点の西新宿や新大阪の地価が下落に転じた。テレワークの導入が比較的限定的な福岡市でも中心部のオフィス空室率は供給過剰の目安とされる5%に迫っており、油断できない。

 何よりコロナ禍で激変した経済環境への対応が欠かせない。

 福岡市は国際会議や大型クルーズ船の受け入れ拡大を目指す博多港ウオーターフロント地区の再整備計画を見直す方針だ。年間300隻を超えたクルーズ船寄港は昨年2月からゼロで、韓国・釜山と結ぶ定期船も運航を休止している。厳しい現状を踏まえれば、一度立ち止まる判断は妥当だろう。

 福岡空港の利用者も低迷している。施設整備計画の見直しも選択肢となるかもしれない。

 クルーズ船などによる訪日外国人増を前提にした街づくり戦略は福岡市に限らない。11月に大型コンベンション(MICE)複合施設が開業する長崎市の計画は、クルーズ船や観光客数が2023年度にはコロナ前の水準を超える目標を掲げるが、達成は容易ではあるまい。

 九州全体でコロナ後をにらみ既存計画の再検討が必要だ。

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