コロナ禍の「夜の街」地価急降下 上昇の福岡市で中洲だけダウン

 国土交通省は21日、7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。商業地では福岡県の平均変動率が前年比プラス2・7%で、1975年の調査開始以来、初めて都道府県別の上昇率が1位となった。一方、新型コロナウイルスの感染拡大で歓楽街の地価は急落。福岡市内で唯一の下落地点が中洲地区だった。九州各地で飲食店や風俗店が立ち並ぶ「夜の街」が敬遠され、不動産取引は低迷。地価の先行きが見通せなくなっている。

 九州最大の歓楽街、福岡市・中洲。「コロナが収束しても離れた客が戻ってくるかどうか」。飲食店従業員の30代男性は、周辺でにぎわう天神や博多駅前のはざまで中洲が取り残されてしまわないかと危ぶむ。博多区中洲4丁目は2013年から続いた地価上昇が昨年ストップして横ばいだったが、今年は2・1%下落に転じた。下落は9年ぶりだ。

 日本不動産研究所九州支社の高田卓巳次長は中洲について「つぶしが利かない土地柄で、飲食ビルにしかできないところも多い」。コロナ禍前に需要が高まっていたホテル開発も難しくなり、取引が冷え込んでいるという。今回コロナ後を見据えて上昇率を大きく伸ばす商業地が多かった中、歓楽街の不振が目立った。

 こうした傾向は福岡だけではない。熊本市中心部の繁華街で、歓楽街にも近い中央区安政町は、昨年の4・3%上昇から一転して今年は5・2%の下落。熊本県内の商業地では昨年7月の豪雨被害が甚大だった人吉市九日町に次いで2番目の大幅ダウンとなった。

 熊本市の藤井貞人不動産鑑定士は「飲食店を中心に空き店舗が増え、時間短縮営業などの影響が強く表れた」と分析。市中心部の商業地では近年、大型商業施設の開発が進み地価が上昇傾向にあった反動で、減少幅も大きかった。

 長崎市でも歓楽街の銅座町で今年は1・0%下落。昨年は3・7%伸びていたが、不動産取引の意欲が急速に減退したケースが散見された。訪日客が減った主な観光地周辺でも同様の傾向がみられたという。佐賀市は歓楽街の白山2丁目が今年は1・1%下がった。

 福岡の不動産市況に詳しい米系大手不動産サービス会社ジョーンズ・ラング・ラサール関西支社の山口武氏は「(中洲の不振は)一時的な傾向ではないか。コロナ後の人出の回復次第では盛り返す余地が十分ある」とみる。一方、別の不動産関係者は「コロナ禍が長引けば飲食業撤退の歯止めがかからず、社交場としての魅力が薄れる可能性もある」と指摘する。 (布谷真基)

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